エンブラエル ERJ 145

エンブラエル ERJ 145：リージョナルジェットのベストセラー

エンブラエル ERJ 145は、ブラジルの航空機メーカー、エンブラエルが開発したターボファン双発のリージョナルジェット機です。この市場においてベストセラーを記録しており、多くの航空会社で採用されています。

開発の経緯

1989年に計画が発表された当初は、エンブラエルが先に開発したターボプロップ機であるEMB 120との共通点が多かったのですが、開発が進むにつれて、エンジン位置が主翼から胴体後部に変更されるなど、全く異なる機体へと進化しました。会社の経営難による民営化の影響で開発は遅れましたが、1995年8月11日に初飛行を果たし、翌年から引き渡しが開始されました。

欧米を中心に世界各国へ輸出され、2020年の生産終了までに1,231機が製造されました。

機体の特徴

機内は通路を挟んで片側1列、反対側2列の座席配置となっています。同程度の定員のターボプロップ機（ATR-42やボンバルディアDHC-8-300など）の置き換え機種として、アメリカ国内の中堅都市間を結ぶ地域路線や、ヨーロッパの近距離国際線などで多く利用されています。日本では、コリアエクスプレスエアが日本路線に投入した事例があります。

派生型

ERJ 145には、多様な派生型が存在します。主なものを以下に示します。

民生用

ERJ 145: 基本モデル。
ERJ 145ER: 航続距離延長型。
ERJ 145LR: 長航続距離型。燃料搭載量が増加し、エンジンも換装。
ERJ 145XR: 超長航続距離型。ウィングレット装備、中央燃料タンク追加、高性能エンジン換装。
ERJ 145EU: 欧州市場向けモデル。
ERJ 140: ERJ 145の胴体短縮型。座席数が少ない。
ERJ 135: ERJ 145の胴体短縮型。座席数が少ない。

軍用

C-99A: 輸送機型。
EMB 145 AEW&C (R-99A): エリクソン社製エリアイ空中監視レーダーを搭載した早期警戒管制機型。
EMB 145 マルチ・インテル(R-99B): 合成開口レーダー (SAR)・FLIRなどを装備したリモートセンシング型。
EMB 145 MP(P-99): 海洋監視・対潜哨戒型。
DRDO AEW＆CS: インド防衛研究開発機構（DRDO）が開発した固定空中監視レーダーを搭載した早期警戒管制機型。

仕様

以下にERJ 145の主な仕様を示します。

乗員: 3名（操縦士2名、客室乗務員1名）
乗客:
ERJ 135: 37名
ERJ 140: 44名
ERJ 145: 50名
全長:
ERJ 135: 26.33 m
ERJ 140: 28.45 m
ERJ 145: 29.9 m
全幅: 20.04 m
全高: 6.76 m
翼面積: 51.2 m2
空虚重量:
ERJ 140: 11,740 kg
ERJ 145: 11,667 kg
運用重量:
ERJ 140: 17,100 kg
最大離陸重量:
ERJ 135: 22,500 kg
ERJ 140: 21,100 kg
ERJ 145: 20,600 kg
エンジン: ロールス・ロイス製 AE 3007A ターボファンエンジン × 2
推力: 33.0 kN （7,420lbf） × 2
最大速度: 834 km/h（マッハ 0.78）
航続距離:
ERJ 135: 3,361 km（1,814 海里）
ERJ 140: 3,019 km （1,629 海里）
ERJ 145ER: 2,963 km（1,599 海里）
ERJ 145XR: 3,704 km (2,000 海里）
最大運用高度: 11,278 m (37,000 ft)
上昇率:
ERJ 140/145: 780 m/min

比較

同クラスの航空機と比較すると、ERJ 145は特にその航続距離性能と経済性において優位性があります。このため、リージョナル路線での需要が高いです。

関連項目

エンブラエル EMB 120
エンブラエル E-Jet
エンブラエル・レガシー600：ERJ 135のビジネス機タイプ。

外部リンク

ERJ. The Runway Legend Archives - 公式サイト（英語）
* ERJ-145/-135の概要(pdf),財団法人日本航空機開発協会（日本語）

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