エーリク7世 (デンマーク王)

エーリク・ア・ポンメルンの生涯



エーリク・ア・ポンメルン(1382年 - 1459年)は、中世北欧において重要な役割を果たした人物です。彼はノルウェー王エイリーク3世、デンマーク王エーリク7世、スウェーデン王エリク13世として、3つの王国を統治しました。さらに、ポメラニア公エーリヒ1世としても知られています。1397年には、マルグレーテ1世によって成立したカルマル同盟の初代君主となり、北欧諸国の統一を象徴する存在となりました。

エーリクは、ポメラニア公ヴァルティスラフ7世と、デンマーク王ヴァルデマー4世の孫娘マリア・フォン・メクレンブルクの息子として生まれました。母方の血筋から、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンの王位継承権を持っていました。1389年マルグレーテ1世によってノルウェー王に即位し、1395年には父の死によりポメラニア公位も継承しました。翌1396年には、マルグレーテがアルブレクトを廃位させ、エーリクをデンマークとスウェーデンの王位にも就かせました。

エーリクは、当初マルグレーテ1世摂政下で政治を行いました。マルグレーテは1412年に亡くなるまで、実質的な共同統治者として、エーリクを支え続けました。1406年には、イングランド王ヘンリー4世の王女フィリッパと結婚しました。

カルマル同盟は、名目上は3国が対等な同盟でしたが、実際にはデンマークが盟主の同君連合でした。エーリクはシュレースヴィヒとホルシュタインの併合を目指しましたが、これは実現しませんでした。この失敗が財政難を招き、エーリクはノルウェーとスウェーデンに重税を課して財政を立て直そうとしました。しかし、これが両国の不満を招き、王に対する反発の要因となりました。

1429年、エーリクはエーレスンド海峡を通過する船舶に海峡税を課すことを決定しました。これはデンマークに莫大な財政収入をもたらしましたが、ハンザ同盟との対立を深めることになりました。エーリクは、海峡の両岸に城を築き、通過する船舶を監視し、その威圧的な政策は周囲の反感を買いました。

晩年、エーリクは貴族の台頭と専横に悩まされるようになりました。1435年には、スウェーデンで最初の独立反乱が発生しました。最終的に、エーリクは王権を強化することができず、退位を余儀なくされました。貴族の力が強大化し、それを抑えることができなかったのです。エーリクには子供がなく、後継者としてポメラニアの従弟ボギスラフ9世を推しましたが、貴族たちは反対し、エーリクの甥であるクリストファ・ア・バイエルンを後継者に選びました。

エーリク・ア・ポンメルンの統治の評価



エーリク・ア・ポンメルンの治世は、功績と失敗が入り混じったものでした。彼はカルマル同盟の初代君主として、北欧諸国の統一を象徴する存在となりました。しかし、財政政策の失敗、貴族との対立、そして強硬な外交政策は、彼の支配を不安定にしました。特に、海峡税の導入は、デンマークの財政を潤しましたが、ハンザ同盟との対立を招き、後の紛争の火種となりました。

エーリクの退位後、カルマル同盟は次第に解体に向かいました。彼の治世は、北欧の歴史における重要な転換点となり、後世に大きな影響を与えました。

参考文献



百瀬宏 他 『新版 世界各国史 21 北欧史』 山川出版社、1998年
武田龍夫 『物語 北欧の歴史』 中央公論社、1993年

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。