オウム病

オウム病とは

オウム病（psittacosis）とは、クラミジアの一種であるオウム病クラミジア（Chlamydophila psittaci あるいはChlamydophilia abortus）によって引き起こされる感染症であり、人獣共通感染症の一つです。別名としてクラミジア病とも称され、過去にはミヤガワネラ病とも呼ばれていました。この病気は感染症法における四類感染症に分類されています。

感染源と感染経路

オウム病の主な感染源は鳥類で、特にオウムやインコ、ハトなどが自然宿主とされています。感染した鳥の排泄物や汚染された羽毛から漂う微細な塵を人が吸い込むことで、感染が成立します。ペットショップや公園など、多数の感染鳥がいる環境でも感染する可能性があるため、注意が必要です。

症状

人間の場合、オウム病に感染するとインフルエンザに似た症状が現れます。発熱、咳、頭痛、筋肉痛などが見られ、治療が遅れると肺炎や気管支炎などの重篤な呼吸器疾患を引き起こすことがあります。一方で、感染した鳥類は通常は無症状ですが、発症すると元気がなくなり食欲を失い、緑色の便を排泄します。ひどい場合には急死することもあります。病理学的には肝臓や脾臓の腫大、心外膜や気嚢の肥厚が確認されます。また、牛や馬でも感染が見られ、妊娠した雌牛では流産が起こることあり、馬では様々な疾患を引き起こすことがあります。

診断方法

オウム病の診断は、感染源からの検体を用いて行います。通常、検体を発育鶏卵や鶏胚細胞、HeLa細胞などに接種し、その後培養して観察します。ギムザ染色や蛍光抗体法を用いて、病原菌の部分を直接確認することが一般的です。また、特異的な抗体の検出も診断には重要です。

治療

オウム病の治療には、Chlamydophila psittaciおよびChlamydophilia abortusに対して有効な抗菌剤が使用されます。マクロライド系やテトラサイクリン系の抗生物質が第一選択薬に指定される一方で、ニューキノロン系抗生物質も効果がありますが、セフェム系抗生物質に対しては無効です。適切な治療が早期に行われることが大切です。

予防法

現在、オウム病に対するワクチンは存在しません。そのため、鳥類との接触を制限し、特に近接な接吻を避けることが望ましいです。また、鳥の飼育ケージの清掃時にはマスクを着用するなど、感染防止のための対策を講じることが推奨されています。これらの対策によって、オウム病の感染リスクを低減することができます。

参考文献

• - 鹿江雅光、新城敏晴、高橋英司、田淵清、原澤亮編 『最新家畜微生物学』朝倉書店 1998年
• - 高島郁夫、熊谷進編 『獣医公衆衛生学第3版』文永堂出版 2004年

感染症についての理解を深めるためには、感染経路や症状、治療法、さらには予防策についての正しい知識を持つことが重要です。

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