オオムラサキ

オオムラサキ（大紫、Sasakia charonda）

オオムラサキは、チョウ目（鱗翅目）タテハチョウ科に属する美しい蝶です。この蝶は日本全域で見ることができ、特にその煌めく青紫色の翅は多くの人々の目を引きつけます。オオムラサキの最初の発見地点は神奈川県で、名は佐々木忠次郎に因んで名付けられました。日本の国蝶としても知られ、その存在は文化的にも重要視されています。

生息域

オオムラサキは、日本、朝鮮半島、中国、台湾北部、ベトナム北部に広く分布しています。日本国内では、北海道から九州まで各地で見られ、宮崎県小林市がその南限とされています。このチョウは、管理された広めの雑木林で生息することが好ましく、特に東京都心部の雑木林では過去に多く見られたものの、現在は都市近郊で絶滅の危機にある地域がある一方、山梨県では多くの個体が生息しています。

形態

オオムラサキは、広義のタテハチョウ科に分類される蝶では最大級の体を持ち、成虫の前翅長は50～55mm程度です。オスはその特徴的な青紫色の光沢を持つ翅を持ち、特に美しい姿をしています。一方、メスはオスよりも大きく、こげ茶色の翅をしているため、見分けが容易です。地理的に見ても、北海道から東北の個体は小型で明色斑が多いのに対し、西日本では全体的に大きく、翅の色の変化があります。また、九州の個体は全体的に黒っぽく見えることがあります。

特に、北海道夕張郡の個体群は独特な斑紋を持ち、新亜種として記載されることもあります。さらに、日本以外では中華圏の個体群が異なる特徴を持ち、亜種として区分されることがあります。これらの変異には、個体の翅の色や模様も関連しています。

生態

この蝶の成虫は、年に一度、6月から7月ごろに発生しますが、8月にも成虫を観察することができます。主な食物源は、クヌギやコナラの樹液、クリやクサギの花蜜です。時には腐果や糞にも集まることがあります。オオムラサキは非常に活発で、他の昆虫との競争が見られるため、その姿はとても勇壮です。また、飛行能力も非常に高く、優雅に空を舞う姿が観察できます。オスは特定の地域で縄張りを持ち、飛び回る行動が見られます。

幼虫はエノキやエゾエノキを主な食樹とし、夏から秋にかけて成長します。成虫は冬場には地面や落ち葉の下に潜って越冬し、春に再び活動を開始します。彼らは蛹の段階でも震動することができ、特に興味深い生態を示します。

文化

オオムラサキは日本の国蝶として認識されていますが、これは法律に基づくものではなく、日本昆虫学会によって選定されたものであり、選定過程には多くの議論がありました。1933年ごろから、この蝶は多くの候補と共に国蝶として議論され続け、1956年に75円切手に採用されたことで正式に国蝶に選ばれました。

また、茨城県下妻市では、オオムラサキをモチーフにしたマスコットキャラクター「シモンちゃん」が地元の観光や文化に貢献しており、このようにオオムラサキは日本の象徴的存在ともなっています。

もう一度検索