タテハチョウ科

タテハチョウ科の概要

タテハチョウ科（タテハチョウか、立羽蝶科）は、チョウ目に属するさまざまな蝶の集まりです。この科には、マダラチョウ亜科、ジャノメチョウ亜科、テングチョウ亜科などが含まれ、かつてはこれらが独立した科とされていましたが、現在では一つの大きな科として統合されています。タテハチョウ科は、南極を除く地球上の熱帯、温帯、冷帯に広がり、さまざまな環境に適応していることが特徴です。全12の亜科、500以上の属、そして6,000種以上が確認されており、チョウの中で最も多様な科と言えます。

成虫の特徴

この科に属する成虫の前翅長は2cm以上で、中型から大型に分類されます。日本では、オオムラサキやオオゴマダラが最大の種とされており、オオムラサキのメスの前翅長は多くの場合55mmを超えますが、マダラチョウ類を含めると前翅長70mm以上の種も存在します。

成虫の翅は亜科や種によって異なり、鮮やかな模様を持つものが多数存在しますが、すべての種に共通する特徴として、前脚が退化し短くなっています。このため、ぱっと見たところでは成虫の脚が4本に見えることがあります。しかし、よく見ると、頭部と前脚の間に小さく折りたたまれた前脚があります。前脚は歩行や掴むためには使われませんが、味覚を感じるための感覚器官として発達しています。

成虫は通常、花に訪れますが、過熟果実や樹液、動物の糞に集まる種類も多く存在します。特にコムラサキ亜科やフタオチョウ亜科の蝶は花にはほとんど来ません。チョウは止まる時に翅を広げ続けることが一般的で、チョウとガの見分け方の一つに翅の開閉が挙げられますが、タテハチョウ科にはその限りではない種が多く存在します。

幼虫と蛹

幼虫の形状も非常に多様で、突起や毛、角を持つものが多く、ケムシのような形態を持つ種もいます。幼虫は成虫と同じく、その形態のバリエーションに富んでいます。

蛹は通常、逆さにぶら下がる垂蛹型を取り、尾部の器官を使ってぶら下がります。蛹化の際には、幼虫の抜け殻を糸から振り落とし、器用にぶら下がります。

種の多様性

1970年代まで、タテハチョウ科に含まれる各亜科は別の科として分類されていましたが、近年の研究ではより包括的に一つの科にまとめられています。各亜科の成虫の形態や幼虫の特徴は異なりますが、前脚の退化など共通点も多く見られます。

以下はタテハチョウ科に含まれる主な亜科です：

• - コムラサキ亜科 (オオムラサキ、コムラサキ、ゴマダラチョウなど)
• - フタオチョウ亜科 (フタオチョウ、ミイロタテハなど)
• - ジャノメチョウ亜科 (ジャノメチョウ、ヒメジャノメ、ヒカゲなど)
• - マダラチョウ亜科 (アサギマダラ、オオゴマダラ、オオカバマダラなど)

これらの亜科には、各地の環境に応じた色彩や形状の違いがあり、それぞれ独自の生態を持っています。タテハチョウ科はその多様性から、自然界において重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

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