オクタゴナル

オクタゴナル：オーストラリア競馬史に名を刻んだ名馬

オクタゴナル(Octagonal)は、ニュージーランド生まれの競走馬にして、オーストラリア競馬界のレジェンドです。その名は英語で「八角形」を意味し、愛称は「ビッグ・オー」や「オッキー」で親しまれました。1990年代のオーストラリア競馬を代表する名馬として、G1競走を10勝も制覇。1995/1996年シーズンには、オーストラリア年度代表馬にも輝き、その輝かしい功績は、今もなお語り継がれています。

驚異的な競走馬としてのキャリア

1994年12月、2歳の夏に競走馬デビューを果たしたオクタゴナルは、初戦で勝利を収めると、その才能の片鱗を見せ始めます。2歳時は5戦3勝、2着2回という素晴らしい成績で最優秀2歳牡馬に選出。ザビール産駒は、通常3歳以降に真価を発揮するとされていましたが、オクタゴナルは例外的に早くからその能力の高さを示しました。

3歳シーズンに入ると、当初は勝ち負けを繰り返す時期もありましたが、転機が訪れます。オーストラリア最強馬決定戦であるコックスプレートで、古馬相手にレコードタイムでの優勝を果たしたのです。この勝利をきっかけに、オクタゴナルは一気に調子を上げました。続くG1競走では僅差で2着に敗れるものの、勢いは衰えず、シドニー三冠（カンタベリーギニー、ローズヒルギニー、オーストラリアンダービー）を全て制覇。さらに、ローズヒルギニーとオーストラリアンダービーの間にメルセデスクラシックも制し、わずか5週間で4つのG1競走を制するという快挙を達成。これらの活躍により、このシーズンの年度代表馬と最優秀3歳牡馬の称号を獲得しました。

4歳シーズン、最後のシーズンとなった春先は不調に陥りましたが、秋口から再び復活。GIIアポロステークスで2着となった後、チッピングノートンステークス、オーストラリアンカップ、そして再びメルセデスクラシックと、G1競走を3連勝。その後、クイーンエリザベスステークスで2着となった後、華々しい競走生活に幕を閉じ、種牡馬となりました。引退時には、シドニーのみならず、オーストラリア全土で引退式が開催されるほどの人気を博していました。

種牡馬としての成功と世界への貢献

ウッドランズスタッド傘下のデンマンスタッドで種牡馬生活を送ることになったオクタゴナルは、初年度産駒からオーストラリア年度代表馬ロンロを輩出。親子二代で年度代表馬という偉業を達成しました。オセアニアを代表する種牡馬である父ザビールは、北半球への進出が極端に少なかったため、オクタゴナルはシャトル種牡馬として2001年にフランスへ。そこで生まれた産駒レイヴロックがイスパーン賞とジョッキークラブ大賞を制し、父ザビール系統初のヨーロッパG1競走制覇という歴史的快挙を成し遂げました。

オーストラリアのリーディングサイアーランキングでは、ロンロの活躍によりベストテン入りを果たしたシーズンもありましたが、総合的には期待を下回る成績でした。2008年、ウッドランズスタッドがダーレーグループに買収されると、ツイーンヒルズスタッドへ移動。英ダービー馬クエストフォーフェイムと共に繋養されることになりました。

血統と一族

オクタゴナルの血統背景もまた、その偉大な活躍を裏付けるものと言えるでしょう。半兄には重賞5勝のカープスタッド、半姉には重賞3勝のマルキースがおり、1歳下の全弟ムーアワッドもG1競走3勝を挙げました。オクタゴナルとムーアワッドの活躍期間中は、母エイトキャラットが3シーズン連続でニュージーランド最優秀繁殖牝馬に選出されています。さらに、その半弟にはハビビという活躍馬もいます。父ザビールは1990年代の南半球を代表する種牡馬であり、オクタゴナルは当時のオセアニアで最高クラスの良血馬でした。母系には20世紀の大繁殖牝馬、ムムタズマハルを遡ることができ、その一族には、数々の名馬が名を連ねています。

オクタゴナルは、競走馬としての圧倒的な強さと、種牡馬としても優れた能力を示した、まさにオーストラリア競馬史に輝く名馬と言えるでしょう。その功績は、これからも長く語り継がれていくに違いありません。

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