オグルマ属

オグルマ属（Inula）

オグルマ属はキク科キク亜科に属する植物のグループです。学名はInulaで、多年草または低木として知られています。

特徴

オグルマ属の植物は、直立する茎と互生する全縁の葉を持つのが一般的です。花冠は通常黄色ですが、まれに舌状花が白い種類も存在します。

• - 花：頭状花序は、縁に一列または多列の舌状花が発達し、舌状花の先端は3つに分かれています。中央部には多数の両性筒状花があり、先端は5つに裂けます。
• - 総苞：半球形または鐘形で、多列の総苞片を持ちます。外側の片は草質、内側の片は乾膜質であることが多いです。
• - 果実：痩果であり、有毛または無毛で、多数の肋があります。冠毛は多数の毛で構成されています。

分布

オグルマ属は約100種がユーラシアとアフリカに分布しており、特に地中海沿岸地域に多く見られます。日本にはオグルマ、ホソバオグルマ、ミズギク、カセンソウの4種ほどが分布しています。

用途

オグルマ属の植物は、観賞用として園芸分野で栽培されています。古代ローマ人がトロイのヘレンにちなんで名付けられた花を栽培していたという記録もあります。

• - 薬用：一部の種類はハーブや漢方薬として利用されています。
• - その他：オグルマ属から初めてイヌリンが抽出されたことから、イヌリンという糖の名前の由来にもなりました。

日本に分布する種と栽培種

• - オグルマ (Inula britannica L. subsp. japonica (Thunb.) Kitam.)：湿地や川岸、田の縁に生育する多年草。朝鮮半島や中国大陸にも分布しています。ヨーロッパ産の基本亜種よりも背が高く、頭花が小さいのが特徴です。
• - ホソバオグルマ (Inula linariifolia Turcz.)：明るく湿った草地に生育する多年草。日本では絶滅危惧II類に指定されています。朝鮮半島、ウスリー、アムール、中国東北部などにも分布。
• - ミズギク (Inula ciliaris (Miq.) Maxim.)：山中の湿地に生える多年草で、日本固有種です。
• - カセンソウ (Inula salicina L. var. asiatica Kitam.)：日当たりの良い湿地に生育する多年草。朝鮮半島、中国大陸東北部、シベリアにも分布。茎に毛がある点がヨーロッパ産の基本変種と異なります。
• - オオグルマ (Inula helenium L.)：栽培種であり、園芸やハーブとして利用されています。「エレキャンペーン」という名前でも知られています。

参考文献

• - 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本III 合弁花類』、1981年、平凡社
• - 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
• - 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社
• - 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

もう一度検索