ミズギク

ミズギク（水菊）

ミズギク（学名：Inula ciliaris）は、キク科オグルマ属に分類される多年草です。日本固有種であり、湿地を好んで生育する特徴を持っています。

特徴

ミズギクの茎は直立し、高さは25cmから50cm程度に成長します。茎には毛が密生しているものと、あまり毛がないものがあります。通常、茎は枝分かれしませんが、稀に1～2本の枝を出すことがあります。

根出葉はさじのような形をしており、長さは4cmから10cm、幅は8mmから15mm程度です。葉の縁は全縁で、生え始めは毛が多いのが特徴です。茎につく葉は互生し、倒披針形から卵状披針形をしており、小さめです。葉の基部は茎を抱くように付き、縁には鈍い鋸歯があるか、または全縁となっています。

花期は6月から10月にかけてで、通常は茎の先に1つの頭状花序をつけ、上向きに咲きます。頭花は黄色で、直径は3cmから4cm程度です。縁には雌性の舌状花があり、先端が3つに分かれています。中央部には両性の筒状花があり、筒部の先端が5つに裂けています。舌状花と筒状花はどちらも結実します。

総苞は半球形をしており、総苞片は4～5列に並んでいます。総苞片はすべて同じ長さで、外片は狭長楕円形をしており、密に毛が生えています。その外側には同形の苞状葉があります。果実は痩果で、長さは1.5mm程度の円柱形で、10本の肋があり、まばらに毛が生えています。冠毛は長さ4.5mm程度で、白色を帯びています。

開花時期にもロゼット状の根出葉が残っているのが特徴で、同じオグルマ属のカセンソウやオグルマとは異なる点です。

分布と生育環境

ミズギクは日本固有種であり、九州の宮崎県から本州の近畿地方以東に分布しています。山地の湿原に生育しており、北海道の静狩でも分布が確認されています。

名前の由来

和名であるミズギクは、その名の通り「水菊」に由来し、水湿地に生えることから名付けられました。種小名のciliarisは、「縁毛のある」または「まつげ状の毛の生えた」という意味を持っています。

下位分類

ミズギクには、以下の下位分類が存在します。

オゼミズギク (Inula ciliaris var. glandulosa)：茎の中部以上につく葉の裏に黄色い腺点が多少なりとも見られるもの。尾瀬・日光周辺地域や東北地方南部に分布しています。
オクノミズギク (Inula ciliaris var. pubescens)：青森県の八甲田山がタイプ標本の産地となっています。

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本III 合弁花類』、1981年、平凡社
林弥栄監修『野に咲く花 山溪ハンディ図鑑1』、1989年、山と溪谷社
牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
* 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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