オサバグサ

オサバグサ（学名：Pteridophyllum racemosum）は、ケマンソウ亜科に属する多年草で、オサバグサ属を構成する唯一の種です。かつてはケシ科やケマンソウ科に分類されていましたが、独立したオサバグサ科とされることもありました。

特徴

オサバグサの最大の特徴は、その独特な葉の形にあります。多数の葉は根元から生え、長さ10～20cm、幅2.5～3cmに達し、基部は短い柄を持っています。葉は櫛の歯のように深く裂けており、表面には粗い毛が生えています。裂けた羽片の幅は約3mmです。

花期は6月から8月で、花茎は直立して15～25cmの高さになります。花茎の上部には、白色の4弁の花が下向きに多数咲きます。小花柄の長さは10～15mm、花弁は長楕円形で長さは約5mmです。

和名の由来は、葉の形がシダ植物に似ており、機織りに使う道具である筬（おさ）に似ていることからきています。

分布と生育環境

オサバグサは日本固有種であり、本州の中部地方から東北地方にかけて分布しています。亜高山帯の針葉樹林の林床や林縁など、限られた環境に生育しています。比較的まれに見られる植物です。

分類

オサバグサの分類は、過去に何度か変更されています。新エングラー体系ではケシ科、クロンキスト体系ではケマンソウ科に分類されていましたが、独立したオサバグサ科とされることもありました。現在では、ケマンソウ亜科に分類されることが一般的です。

その他

オサバグサは、その独特な形状から園芸植物としても注目されることがあります。しかし、生育環境が限られているため、栽培は難しいとされています。また、絶滅危惧種に指定されている地域もあるため、保護活動も行われています。

参考文献
佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅱ離弁花類』、1982年、平凡社
林弥栄編『山溪カラー名鑑 日本の野草』、1983年、山と溪谷社
* 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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