ケマンソウ亜科

ケマンソウ亜科（Fumarioideae）について

ケマンソウ亜科は、ケシ科に分類される亜科の一つであり、約21属600種もの草本植物（一部つる性）を含んでいます。これらの植物は主に北半球に分布しており、高山帯に見られるコマクサや、観賞用に栽培されるケマンソウ、春先に美しい赤紫色の花を咲かせるムラサキケマン、そして漢方薬として利用されるエンゴサクなど、多様な種類が存在します。かつては独立したケマンソウ科（Fumariaceae）として分類されていましたが、現在ではケシ科の亜科として位置づけられています。

特徴

ケマンソウ亜科の植物は、葉が複葉または単葉で切れ込みがあるのが特徴です。花は左右対称で、2枚の小さな萼片と4枚の花弁（距を持つものが多い）を持ちます。雄しべは4本または6本、雌しべは1本で2つの心皮から構成されます。果実は細長い蒴果です。ケシ科と同様に、アルカロイドを含み、有毒または薬用として利用される種が多いですが、乳液は含んでいません。

分類

ケマンソウ亜科は、以下の2つの連に分類されます。

Hypecoeae: 2属18種が含まれます。
Hypecoum属
Pteridophyllum属：日本固有種のオサバグサ1種のみを含む。かつてはオサバグサ科（Pteridophyllaceae）として独立していた。
Fumarieae: 19属が含まれ、大部分の種がキケマン属に属します。
Lamprocapnos属：ケマンソウ1種
Ehrendorferia属
Ichtyoselmis属
Dicentra属：コマクサなどが含まれる
Adlumia属：2種
Capnoides属：1種
Dactylicapnos属
Corydalis属（キケマン属）：約470種。キケマン、ムラサキケマン、エゾエンゴサク、ヤマエンゴサク、ミヤマキケマンなどが含まれる。
Cysticapnos属：3種
Trigonocapnos属：1種
Discocapnos属：1種
Fumariola属：1種
Cryptocapnos属：3種
Rupicapnos属：7種
Fumaria属（カラクサケマン属）：約50種
Pseudofumaria属：2種
Platycapnos属：3種
Ceratocapnos属：3種
Sarcocapnos*属：7種

系統

分子系統学的研究により、ケマンソウ亜科の系統関係が明らかになっています。これらの研究結果は、亜科内の進化の過程を理解する上で重要な情報を提供しています。

まとめ

ケマンソウ亜科は、多様な形態と生態を持つ植物群であり、その分類や系統関係は近年さらに詳細に研究されています。観賞用、薬用、そして高山植物として、私たちの生活や自然環境に深く関わっている植物群です。

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