オスマン帝国海軍

オスマン帝国海軍の歴史

オスマン帝国海軍は、帝国の海上勢力を幅広く支えた重要な軍事機関であり、その起源は13世紀末から14世紀初めにさかのぼります。1308年、マルマラ海のイムラル島を攻略したことが、この海軍の始まりとされています。14世紀中頃にはボスポラス海峡やダーダネルス海峡の制海権を掌握し、ヴェネツィア共和国の艦隊と衝突することも多くなりました。この時期、オスマン帝国の領土拡大によって、海軍の影響力は黒海やバルカン半島へと広がりました。

特にコンスタンティノープルの陥落においては、海上封鎖を行い、軍艦の移動によって金角湾への侵入を達成しました。この時の海戦では、1499年に行われたゾンキオの海戦が大砲を用いた本格的な戦闘の最初の例とされており、オスマンの海軍技術は急速に発展していきました。

海軍の全盛期

16世紀に入ると、スレイマン1世の元で海軍が地中海の覇権を強化しました。1522年にはロドス島を占領し、1538年にはプレヴェザの海戦でスペイン・ヴェネツィア連合艦隊を撃破し、地中海全域を制圧しました。1560年のジェルバ島の戦いでも大勝利を収め、オスマン海軍は一時代を築きました。

このころ、海軍の影響は地中海外にも及び、紅海やアラビア海でもポルトガル艦隊と接触し、さらにはカナリア諸島を一時的に占領するなど交易や海戦において活発に活動していました。16世紀においては、オスマン海軍の提督ピーリー・レイースによる世界地図が作成され、現在もその価値が評価されています。

停滞と改革の波

しかし、18世紀になると、オスマン帝国海軍は徐々に停滞の兆しを見せ始めました。ヴェネツィアとの戦争では成果を上げるものの、1768年のロシアとの戦争では壊滅的な敗北を経験。ギリシャ独立戦争中のナヴァリノ海戦では、近代化したヨーロッパの海軍との実力差が露わになり、海軍は弱体化したといえます。

この時期、イギリスなどからの支援を受けて海軍の増強を図りましたが、技術の老朽化と外国人依存の問題が重なり、海軍の能力低下を招く結果となりました。

アブデュルハミト2世とその後

1876年にアブデュルハミト2世が即位すると、海軍予算が削減され、海軍の状態はさらに悪化。艦隊の主力艦は金角湾に留め置かれ、演習も行われず、士気も低下していきました。外交的な圧力や近代化の遅れが影響し、1890年代には海軍力が著しく損なわれました。

しかし、1908年の青年トルコ人革命によって、オスマン帝国海軍の近代化が進むことになります。ドイツやフランスから艦艇を購入し、戦力の強化を図りましたが、1911年の伊土戦争でイタリア[[海軍]]に対抗できず、地中海で苦境に直面しました。

第一次世界大戦とその影響

第一次世界大戦に入ると、オスマン帝国海軍は一時的に強化されましたが、結局は戦局の変化に耐えられず、敗北を重ねることとなります。戦後は残存艦船がトルコ海軍へと引き継がれ、新たな歴史を刻むこととなりました。オスマン帝国海軍はその起源から多くの経験を積み上げたものの、時代の変遷によりかつての栄光は失われていきました。

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