オスマン3世

オスマン3世：変革期のオスマン帝国皇帝

オスマン3世（1699年1月2日 - 1757年10月30日）は、オスマン帝国の第25代皇帝として、1754年から1757年までの短い期間在位しました。父は第22代皇帝ムスタファ2世、母はセルビア系の女性でした。彼は、兄であるマフムト1世の跡を継いで帝位に就きました。

生涯

即位前

オスマンは、1699年にエディルネでムスタファ2世とその妃であるシェブスヴァル・スルタンの間に生まれました。1703年に父が退位させられると、オスマンは兄弟たちと共にイスタンブールのシムシルリクで過ごすことになります。1705年には、兄のマフムトや弟のハサンらと密かに割礼を受けました。この頃は比較的自由な生活を送っており、1712年にはアフメト3世の旅行に同行した記録も残っています。

1730年にパトロナ・ハリルの乱が起こり、兄のマフムト1世が即位した後、弟のハサンはアマスィヤの知事に、いとこのメフメトはマニサの知事に任命されましたが、オスマンの動向については詳しい記録が残っていません。そのため、彼はカフェス（幽閉所）に幽閉されていたと考えられています。

即位

1754年、兄の死去に伴い、オスマン3世は帝位を継承しました。即位後6日目に母であるシェフスヴァル・スルタンをトプカプ宮殿に呼び戻し、その翌日には即位式を執り行いました。しかし、在位期間がわずか3年と短かったため、目立った事績は多くありません。治世中には、大宰相が6回、イスラム長老が2回も交代しており、その理由は賄賂、スルタンへの虚偽の報告、火事の責任、民衆からの苦情など様々でした。また、オスマン3世が幽閉されていた頃から彼の世話をしていた宦官のアフメト・アガが宮廷で権力を振るったとされています。

オスマン3世には3人の夫人（側室）の名前が伝わっていますが、彼は女嫌いであり、子供を授かることはありませんでした。その女嫌いは徹底しており、宮廷内で女性の姿を見ないように鉄製の靴を履いていたと言われています。皇帝の足音を聞いた女官たちは、恐れて逃げ去ったと伝えられています。また、音楽も嫌いだったため、彼の治世中は宮中での音楽演奏が一切禁止されました。

オスマン3世は、アフメト3世時代のチューリップ時代や、兄マフムト1世の時代に流行した華美な文化や都市文化に対して、様々な対抗措置を講じました。

• - 婦女は派手な服装で外出しないこと
• - 市場での仕事中は遊び歩かないこと
• - 君主の金曜礼拝を見物しないこと
• - 大宰相以外の者が馬を装飾してはならないこと
• - 非ムスリムは定められた服装以外を着用しないこと

これらの綱紀粛正は、18世紀初頭から続いた経済成長と大量消費社会の定着により、大きな効果を上げることはできませんでした。

1755年、オスマン3世は大宰相ヘキムオウル・アリ・パシャに、いとこにあたるシェフザーデ・メフメト（アフメト3世の皇子）の殺害を命じました。しかし、アリ・パシャはこれを拒否したため、実行されませんでした。結局アリ・パシャは解任され、1756年に大宰相となったキョセ・バヒル・ムスタファ・パシャがメフメト殺害の命令を実行しました。

オスマン3世の治世中には災害が頻発しました。1755年1月にはボスフォラス海峡が凍結し、人々が歩いて渡るほどでした。帝都イスタンブールでは大火が4回も発生し、1754年12月のマフムトパシャ地区での大火を皮切りに、1755年7月には港で、9月にはイスタンブールの複数の地区で大火が発生し、壊滅的な被害をもたらしました。最後の大火は1756年7月に発生し、イスタンブールの中心部を完全に破壊しました。この頃から、キリスト教徒やユダヤ教徒などの異教徒に対する寛容さが失われていった時代でもありました。

建築

兄のマフムト1世が着工したヌルオスマニイェ・モスクは、オスマン3世の治世中に竣工しました。

崩御

1757年、オスマン3世は胃の痛みを訴え、金曜礼拝を急遽中止した2日後に崩御しました。遺体はヌルオスマニイェ・モスクではなく、トゥルハン・ヴァリデ・モスクに埋葬されました。これは、新たに即位したムスタファ3世の意向によるものと言われています。

オスマン3世の短い治世は、オスマン帝国の変革期における一側面を映し出しています。彼の厳格な性格や文化政策、そして頻発する災害は、当時の社会の不安定さを象徴していると言えるでしょう。

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