アマスィヤ

アマスィヤ：歴史と自然が織りなすトルコの古都

アマスィヤは、トルコ北部に位置するアマスィヤ県の県都であり、古くはアマセイアと呼ばれていました。黒海地方の山々に囲まれたイェシル川沿いの狭い谷に位置し、その独特な地形と豊かな歴史が織りなす魅力的な都市です。

地理と気候

アマスィヤは、黒海とアナトリア高原の中間に位置し、テルサカン川、チェケレク川、イェシル川が流れる肥沃な平野にあります。周囲を切り立った崖とジャニク山脈、ポントス山脈に囲まれており、その地形は天然の要塞としての役割を果たしてきました。内陸性気候のため、リンゴ栽培に適しており、高品質なリンゴの産地として知られています。

歴史

アマスィヤは、紀元前5500年頃から人が住み始め、ヒッタイト人、フリュギア人、キンメリア人、リディア人、ペルシア人などが居住しました。紀元前183年にはギリシャ人が入植し、紀元前333年から紀元前26年までポントス王国の首都として繁栄しました。ローマ時代にはビテュニア・ポントス属州の行政中心都市となり、ストラボンなどの思想家や作家、詩人たちが集まりました。

1075年にはダニシュメンド朝に征服され、その後セルジューク朝、イルハン朝の支配下でイスラム文化の中心地となりました。オスマン帝国時代には、スルタンが自身の子供たちを教育のために送るなど、教育の中心地として重要な役割を果たしました。ムラト3世など、後のスルタンとなる人物がアマスィヤで教育を受け、統治者としての経験を積みました。

トルコ革命時には、ムスタファ・ケマル・アタテュルクがトルコ共和国建国に向けた重要な会合をアマスィヤで開催し、トルコ革命の宣言を行いました。

文化と観光

アマスィヤには、古代からオスマン帝国時代に至るまでの様々な時代の遺跡や建造物が残されており、観光名所となっています。

ポントス王家の墓: 町の中心部に位置し、崖に掘られた墓は圧巻です。
ハルセネ・カレシ: ストラボンも言及した要塞で、街を見下ろす岩肌に遺跡が残っています。
ブルマリ・モスク: 13世紀セルジューク朝時代のモスクです。
ビマラネ精神病院: 14世紀イルハン朝時代の建造物で、美しい彫刻が施された門が特徴です。
ハゼランラル・コナーイ: 19世紀のオスマン帝国時代の邸宅で、現在は美術館と民族博物館として公開されています。
アマスィヤ考古学博物館: 様々な時代の工芸品や、イルハン朝時代のアマスィヤの統治者のミイラが展示されています。
ボラバイ湖: タショヴァ地区にある火口湖で、美しい自然の中で釣りやピクニックを楽しむことができます。

食文化

アマスィヤでは、ヨーグルト入りのスープであるトイガ・チョルバスや、ケシの実入りのパイなどが有名です。また、川沿いのカフェでティータイムを楽しむのもおすすめです。

アマスィヤ出身の著名人

ストラボン: 紀元前1世紀から紀元1世紀にかけて活躍した地理学者・歴史家。
レオン・トゥトゥンジャン: 画家。
メフメト・デミール、ハミト・カプラン: レスラー。

ファラトとシリンの伝説

アマスィヤには、ファラトとシリンという恋人たちの悲しい伝説が語り継がれています。この伝説は、芸術作品の題材としても取り上げられています。

アマスィヤは、豊かな歴史と文化、美しい自然が調和した魅力的な都市です。トルコを訪れる際には、ぜひアマスィヤに足を運んでみてください。

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