オペレーションサンダーボルト

オペレーションサンダーボルト

『オペレーションサンダーボルト』は、1988年に日本のゲームメーカー、タイトーによってアーケード向けに開発・稼働が開始されたガンシューティングゲームです。前年にリリースされ好評を博した『オペレーションウルフ』の直接的な続編として位置づけられており、「不可能を可能にする鉛の男達」という力強いキャッチコピーが掲げられました。

本作の最大の特徴は、アーケード用のガンシューティングゲームとしては初めて2人同時プレイに対応した点です。前作が1人専用だったのに対し、協力して任務に挑めるようになったことは、多くのプレイヤーに歓迎されました。この2人同時プレイを含むゲームシステムは世界的な成功を収め、後の同ジャンル作品、特にコナミの『リーサルエンフォーサーズ』が登場するまで、アーケードにおけるガンシューティングゲームの事実上の標準（デファクトスタンダード）として定着しました。

ゲームシステム

プレイヤーは筐体に固定された、イングラム MAC10を模した専用ガンコントローラーを用いて操作を行います。主な武器はトリガーで発射されるマシンガンと、銃口左側にあるボタンで放たれる特殊攻撃のロケット弾です。どちらの武器も使用できる弾数に制限がありますが、ゲーム中に現れる様々なアイテムを獲得することで補充が可能です。弾薬以外にも、体力回復に役立つアイテムや、照準を分かりやすく表示するレーザーサイトなどが出現します。

ゲームは全8ステージで構成されています。ステージは前方へと進む「拠点移動」と、左方向に横スクロールしながら進む「拠点攻略」が交互に展開されます。最終ステージであるミッション8では、旅客機の機内を後方から前方へと進んでいく特殊な構成となっています。各ステージは、その最奥に到達するか、待ち受けるボスキャラクターを倒すことでクリアとなります。前作と異なり、ステージの攻略順序を自由に選択することはできません。

ゲームオーバーに関するルールとして、最終ミッション中にプレイヤーが力尽きてしまった場合、1人プレイではコンティニューが不可能となりゲームは終了します。ただし、2人同時プレイ時はコンティニューが許可されています。また、特定の条件下で旅客機のパイロットを誤射してしまった場合は、バッドエンドとなってしまいます。

ストーリー

物語は、アメリカで発生した旅客機ハイジャック事件から始まります。テロリストグループは当局に対し、囚人の解放を要求し、24時間以内に要求が受け入れられなければ人質を殺害すると通告します。ハイジャックされた航空機はアフリカのKARUBYA国にある空港に着陸し、人質は複数の場所に分散して隠されてしまいます。

事態を重く見たCIA長官は、1年前に南米での「オペレーションウルフ」を成功させた凄腕の傭兵、ロイ・アダムスに人質救出の極秘任務を要請します。ロイは、かつてグリーンベレーで行動を共にした戦友、ハーディ・ジョーンズと共に、再び危険な任務に身を投じることになります。

登場キャラクター

ロイ・アダムス: 本作の主人公であり、1プレイヤー側のキャラクター。元・第5特殊部隊グループ（5SFG）所属の傭兵で、ベトナムやニカラグアなど数多くの戦場を渡り歩いた経験を持ちます。
ハーディ・ジョーンズ: ロイの相棒を務める2プレイヤー側のキャラクター。彼もまた元・グリーンベレーの傭兵であり、ロイと共に様々な激戦地での戦歴を持ちます。
人質: ミッション4、6、8に登場。一般市民であり、敵に紛れて現れたり、扉を開放することで救出できたりします。様々な外見の人物がいますが、少年以外の人質を無事画面外へ誘導すると体力ゲージが回復します。誤って射殺してしまうと、逆に体力が減少してしまいます。最終的に救出した人数が得点に加算されます。
犬・猫: 時折画面を横切る動物。撃つとアイテムを落とすことがあります。
テロリストグループのボス: ミッション8の最後に登場する、白いターバン姿の男。脱出用の旅客機パイロットを盾にしています。彼ではなくパイロットを撃ってしまうとバッドエンドとなります。

アイテム

アイテムは、画面上部から投下されるアイテムボックスや、敵キャラクター、動物、航空機の落とした爆弾などを撃破することで出現します。出現したアイテムは自弾で撃つことで回収できます。地面に落ちているアイテムの上を通過するだけでは回収できないので注意が必要です。

マガジン: マシンガンの弾薬が40発補充されます。
グレネード弾: ロケット弾が1発補充されます。
弾薬箱: マガジン3本（120発）とロケット弾2発が補充されるお得なアイテムです。
防弾チョッキ: 取得したミッションの間、敵からのダメージを軽減します。
レーザーサイト: 取得したミッションの間、照準が赤く表示され狙いやすくなります。2人プレイ時は取得したプレイヤーのみ効果があります。
回復ドリンク: 体力ゲージが5回復します。
救急箱: 体力ゲージが全て回復します。

移植版

『オペレーションサンダーボルト』は、アーケード版の成功を受けて様々な家庭用ゲーム機に移植されました。欧州では1989年にAmiga、1990年にはAmstrad CPC、Atari ST、コモドール64、ZX Spectrumといった主要なコンピュータープラットフォーム向けにリリースされています。北米では1994年にスーパーファミコン（SNES）版が発売されましたが、これは日本国内では未発売でした。SNES版は、オリジナルのBGMやデモ画面、ステージ選択の自由化、6人のプレイヤーキャラクターからの選択、2人同時プレイ、マウス操作対応など、アーケード版にはない独自の要素が加えられています。

また、複数のアーケード作品を収録したコレクションソフトにも含まれています。欧米では2005年にPlayStation 2、Xbox、Windows向けに発売された『Taito Legends』に収録され、日本では2007年にPlayStation 2で発売された『タイトーメモリーズII 上巻』に収録されています。

反響と評価

ゲーム雑誌『ゲーメスト』が主催した「第3回ゲーメスト大賞」（1989年度）において、本作は年間ヒットゲーム部門で24位にランクインしました。また、ZX Spectrum版はイギリスのゲーム誌『Crash』の読者投票でベストグラフィック賞を受賞しています。一方、SNES版はゲーム誌『GamePro』で、グラフィックと音響効果は高く評価されたものの、ゲームプレイの単調さや照準の反応速度には否定的な評価も寄せられました。

映像表現を巡る議論

本作は、そのテーマ性から社会的な議論の対象にもなりました。1989年には、北海道新聞の記事で戦争や暴力的なゲームに対する批判の一例として取り上げられ、「ゲームとは言え戦争をする光景は許されないような気がする」といった戦中世代からの意見が掲載されました。この記事はゲーム雑誌『ゲーメスト』でも紹介され、読者間の意見交換が行われました。これは、後のゲーム作品における暴力・残酷描写に関する議論が活発化する一因となった出来事として知られています。

シリーズ作品

オペレーションウルフ（1987年）
オペレーションウルフ3（1994年）
* オペレーションタイガー（1998年）

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