オルキュニアの戦い

オルキュニアの戦い

オルキュニアの戦い（Battle of Orcynia）は、紀元前320年もしくは紀元前319年にエウメネスとアンティゴノスの間で行われた戦闘です。この戦いは、アレクサンドロス大王の死後、彼の部下たちが繰り広げた勢力争いの中で発生しました。

背景

大王アレクサンドロス3世がペルシアを征服した後、その死によってマケドニアは混乱に陥りました。様々な部将たちが権力争いを繰り広げており、特にペルディッカスが新たな権力者として立ち上がりました。しかし、彼の支配には反発があり、クラテロスやプトレマイオス、アンティパトロスといった他の将軍たちはペルディッカスとの対立を深めていきました。最終的にペルディッカスは暗殺され、トリパラディソスの軍会が開かれ、その結果としてアンティゴノスが彼の敵対者を討伐することになりました。

アンティゴノスはカッパドキアでエウメネスに対して軍を進めました。エウメネスはかつての戦いで武功を上げた人物でしたが、敵の領域に侵入することで厳しい状況に直面していました。彼のもとには、反旗を翻そうとする部下もおり、エウメネスは彼らを抑え込むために急ぎ行動に出ました。急派したフォイニクスが、彼を捕縛することに成功し、一定の安定を図りました。その後、アンティゴノスとの戦いが待ち構えていました。

戦いの詳細

オルキュニアの戦いでは、両軍の兵力差が大きな要因となりました。アンティゴノスは歩兵1万人、騎兵2000騎、また30頭の戦象を率いていました。一方でエウメネスは歩兵2万人、騎兵5000騎を揃え、数で圧倒していました。しかし、アンティゴノスはエウメネスの騎兵指揮官アポロニデスを巧みに買収し、裏切りを仕掛ける準備を整えていました。

エウメネスは騎兵が戦いやすい平野に陣を張って迎撃の準備をしましたが、アンティゴノスは高所を占拠し有利な立場で戦いに臨みました。戦闘が始まると、アポロニデスの裏切りが発覚し、エウメネスは敵軍に対して劣勢に立たされます。約8000人の戦死者を出し、敗退を余儀なくされたのです。

それでもエウメネスは冷静を保ち、裏切り者を即座に処理し、戦場に戻って遺体の収容と埋葬を行いました。この行為は彼の指揮官としての冷徹さと優れた才能を示しています。

戦後の展開

敗北後、アルメニアへ逃れたエウメネスは現地の住民を味方に引き入れ再び戦う姿勢を見せましたが、配下の多くが彼を見捨てアンティゴノスに走っていきました。エウメネスは、少数の忠実な兵士と共に、難攻不落の砦ノラに立てこもりました。アンティゴノスは彼に降伏を勧告する会談を設けましたが、エウメネスは身の安全を問うことなく、自らの領地の保全を強く要求し、交渉は決裂しました。

その後、アンティゴノスは部下にノラを包囲させ、自身は他の戦闘に赴くことになります。この戦いは、マケドニアの歴史における重要な出来事の一つであり、エウメネスとアンティゴノスの運命的な対立を象徴するものでした。

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