オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック

オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック

オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック（フランス語: Orchestre Révolutionnaire et Romantique）は、1989年に著名な指揮者であるジョン・エリオット・ガーディナーによって設立されたオーケストラです。この楽団の活動の根幹にあるのは、演奏する作品が作曲された当時の歴史的な演奏習慣に対する深い考察と、それに基づいてピリオド楽器（オリジナル楽器や、それに忠実に復元された楽器）を使用することです。主に古典派音楽とロマン派音楽の作品を、当時の響きや表現に可能な限り近づけることを目指して演奏しています。

このオーケストラの演奏スタイルは、楽譜に記された音符だけでなく、18世紀後半から19世紀にかけての音楽がどのように演奏されていたかという歴史的な知見を積極的に取り入れる点に特徴があります。これにより、現代の楽器を用いた演奏とは一線を画す、新鮮で啓示的な響きや表現が生まれます。使用される楽器は、当時の弦楽器のガット弦、木管楽器や金管楽器の構造、ティンパニの皮のヘッドなど、その時代の特性を持っています。

オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティックは、特にルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンとエクトル・ベルリオーズという二人の作曲家の作品の演奏や録音において、国際的に高い評価を得ています。ベートーヴェンの交響曲チクルスや協奏曲、あるいはベルリオーズの革新的な管弦楽作品における彼らのアプローチは、これらの傑作に新たな光を当て、多くの聴衆に感銘を与えています。

楽団の歴史における最も特筆すべき功績の一つに、1993年にロンドンのウェストミンスター大聖堂で行われた、ベルリオーズの《荘厳ミサ曲（Messe solennelle）》の世界初となる商業録音およびテレビ放送用の収録があります。この作品は長年にわたり失われたと考えられていましたが、近年再発見されたものであり、その蘇演をオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティックが担ったことは、音楽史的にも極めて重要な出来事でした。この歴史的な演奏は、ガーディナーが同じく率いる世界的な合唱団、モンテヴェルディ合唱団との緊密な連携によって実現しました。

設立当初は古典派からロマン派初期の作品を中心に活動していましたが、その後、演奏する作品の幅を意欲的に広げています。ヨハネス・ブラームスの大作である《ドイツ・レクイエム》、ジュゼッペ・ヴェルディの円熟期を代表する歌劇『ファルスタッフ』、そしてヴェルディの壮大な《レクイエム》、さらにはガブリエル・フォーレの繊細な《レクイエム》といった、ロマン派後期以降の重要な声楽曲やオペラにも挑戦しています。これらの作品においても、彼らは歴史的な探求心と独自の音楽性を融合させた演奏を展開し、それぞれの作品の新たな魅力を引き出しています。

オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティックは、ジョン・エリオット・ガーディナーの確固たる指揮のもと、過去の偉大な音楽作品に対する現代的な解釈と、歴史的な演奏実践への忠実な探求を結びつけながら、活動を続けています。その革新的なアプローチは、世界中の音楽愛好家から注目を集めており、古楽器オーケストラの分野における主要な存在として確固たる地位を築いています。

関連情報

関連団体: イングリッシュ・バロック・ソロイスツ（ガーディナーが創設したもう一つの主要な古楽器オーケストラ）
公式サイト: オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 公式ウェブサイト

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