オルジェイ (トベエン氏)

オルジェイの概要とその政治的な影響

オルジェイ（モンゴル語: Ölǰei、生没年不詳）は、13世紀後半にモンゴル帝国（大元ウルス）で重要な役割を担った大臣です。史料によってさまざまに記載される彼の名前は、漢文史料『元史』では完沢（wánzé）、ペルシア語史料『集史』ではاولجای（Ūljāī）と表現されています。彼の一生は、モンゴル帝国の政局と密接に絡んでおり、特にクビライ・カアンの治世において、その影響力を発揮しました。

生い立ちと初期の政治経歴

オルジェイはケレイト部に属するトベエン氏の出身であり、名家に生まれました。彼の祖父トセはチンギス・カンおよびオゴデイ・カアンに仕え、父カルジンはクビライの親衛隊の要職に就いていました。オルジェイはその家系に生まれたことから、政治的キャリアを着実にスタートすることができました。最初はクビライの嫡子チンキム王府に仕官し、後にチンキムの親衛隊を統べる立場に任命されました。彼に対するチンキムの信任は厚く、「君の急務は善を好み悪を避けることだ」と称賛されたこともありました。

チンキムの執政とオルジェイの昇進

1282年、チンキムが政権を掌握した際、オルジェイは右詹事に任じられました。彼の政治的扱いは非常に優遇され、チンキムが早世した後、クビライからその末子テムルに仕えるよう命じられました。この時期、オルジェイはその親衛隊を指揮し、ナヤン・カダアンの乱においても戦闘に従事しました。

クビライ治世末期の役割

1291年には尚書右丞相にされ、その後中書右丞相に昇進しました。彼の指導の下、民への恩恵が増大し、評判も高まりました。しかし、彼はテムルの即位後も影響力を持ち続けたものの、国政は実質的に皇太后ココジン・カトンによって運営されていました。彼は国庫の負担を軽減し、賢相の名を得るほどの手腕を発揮しました。

ラーンナー遠征とその結果

1300年、オルジェイは雲南におけるラーンナー王国への出兵をめぐる議論で重要な決定を下します。彼は出兵賛成派に加わり、戦役が決定されましたが、遠征は大きな人的損失をもたらしました。遠征軍の大半が戦わずに敗北する事態となり、最終的には撤退する羽目に。その後、オルジェイは失敗を認識し、責任を問われることになります。

政治的失脚と死去

ラーンナー遠征の失敗後、オルジェイを支えていた朱清・張瑄が捕らえられ、政局が変化します。オルジェイ自身も告発され、最終的に中書右丞相を辞することになります。一連の政変を経て、彼は病により亡くなりました。死後は興元王に追封され、忠憲の詔を受けたと伝えられています。

結論

オルジェイの生涯は、モンゴル帝国の政治における影響力や変遷を物語っています。彼の成功と失敗は、当時の帝国の運営とその後の歴史に大きな影響を与え、現在でも研究の対象となっています。

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