オルテガル岬の海戦

オルテガル岬の海戦：トラファルガー戦役最後の戦い

オルテガル岬の海戦は、1805年11月4日にスペイン北西部のオルテガル岬沖で発生した、トラファルガー戦役における最後の海戦です。この戦いでは、リチャード・ストラカン艦長率いるイギリス海軍戦隊が、ピエール・デュマノワール・ル・ペレイ少将指揮下のフランス戦隊を破り、フランス艦隊の全艦を拿捕するという劇的な勝利を収めました。

戦いの背景：デュマノワールの逃走

トラファルガー海戦において、デュマノワール提督は仏西連合艦隊の前衛を指揮していました。しかし、海戦から辛うじて逃れることに成功し、比較的小さな損害で済みました。当初、デュマノワールはトゥーロンへの帰還を目指していましたが、ジブラルタル海峡に強力なイギリス海軍が展開していることを知り、進路を北に変更。スペインを避け、フランス大西洋岸の港を目指しました。

航海中、デュマノワール艦隊は複数のイギリスフリゲート艦と遭遇し、これを撃退。しかし、その後に出会ったフリゲート艦によって、ストラカン率いるイギリス戦隊の射程圏内へと誘導されてしまいます。

戦闘の経過：追跡、そして決戦へ

ストラカン戦隊は、別のフランス戦隊を捜索するためにこの海域を巡回していました。デュマノワール艦隊を発見すると、直ちに追跡を開始。デュマノワールは、戦力で優位に立つストラカン戦隊からの逃走を図ります。しかし、ストラカン戦隊はフリゲート艦を駆使し、フランス戦隊を巧みに遅らせ、本隊の追いつく時間を稼ぎました。

数時間に及ぶ激しい戦闘の末、ストラカンは戦列艦とフリゲート艦で二重の陣形を敷き、フランス戦隊を圧倒。ついに、デュマノワールは降伏を決意しました。

戦いの結果：イギリスの勝利とその後

フランス戦隊の4隻全てが拿捕され、イギリス海軍に編入されました。ストラカンとその乗員は、国家から多大な褒賞を受け、この勝利はトラファルガーにおけるネルソンの勝利を締めくくるにふさわしい成果として称えられました。

一方、デュマノワールは帰国後、トラファルガーとオルテガル岬での敗戦に関する査問会に出席。様々な議論の末、最終的には無罪となりました。

両戦隊の構成

イギリス海軍 (リチャード・ストラカン艦長)
カエサル (80門艦)
ヒーロー (74門艦)
クラジュー (74門艦)
ナムール (74門艦)
ベローナ (74門艦) ※戦闘には不参加
サンタマルガリータ (36門フリゲート艦)
アイオロス (32門フリゲート艦)
レヴォリューショネア(38門フリゲート艦) ※途中で合流

フランス海軍 (ピエール・デュマノワール・ル・ペレイ少将)
フォルミダブル (80門艦)
デュゲイ・トルーアン (74門艦)
モンブラン (74門艦)
シピオン (74門艦)

意義

オルテガル岬の海戦は、トラファルガー海戦におけるイギリスの勝利を確固たるものとしました。フランス海軍は大西洋での活動能力を大きく損ない、イギリス海軍の制海権が確立されることとなりました。また、この戦いは、ネルソンの戦術の有効性と、イギリス海軍の士気の高さを改めて示すものとなりました。

参考文献

Adkin, Mark (2007). The Trafalgar Companion: A Guide to History's Most Famous Sea Battle and the Life of Admiral Lord Nelson. London: Aurum Press. ISBN 1-84513-018-9
Cust, Edward (1862). Annals of the Wars of the Nineteenth Century. 1. John Murray
Fremont-Barnes, Gregory (2007). The Royal Navy: 1793-1815. Oxford: Osprey Publishing. ISBN 978-1-84603-138-0
James, William (1859). The Naval History of Great Britain, from 1793, to 1820, with an account of the origin and increase of the British navy. 4. London: Richard Bentley

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