オルロ

ボリビア・オルロ：鉱山とカーニバルの街、そしてリチウムの未来

ボリビアのアンデス地方に位置するオルロ市（オルーロ、スペイン語: Ciudad de Oruro）は、複雑で魅力的な歴史を持つ都市です。1606年、銀鉱山の拠点として設立されたオルロは、当初はスペイン国王フェリペ3世にちなんで名付けられました。その後、錫鉱山の中心地として発展を遂げますが、第二次世界大戦後の錫需要の減少により、街は一時的に衰退しました。しかし近年、オルロは新たな可能性を秘めています。それは、希少金属リチウムの発見です。リチウム採掘の進展が期待され、オルロの経済に新たな活気をもたらす可能性を秘めています。

オルロは単なる鉱山都市ではありません。この都市を世界的に有名にしているのは、なんと言っても「オルロのカーニバル」です。リオデジャネイロのカーニバル、クスコのインティ・ライミ祭りと並ぶ、南米三大祭りの一つとして知られており、毎年2月頃に開催されます。鮮やかな衣装をまとった人々が市内を踊り巡るこのカーニバルは、先住民の文化とスペイン植民地時代の記憶が融合した独特のものです。

オルロのカーニバルは、その歴史の深さにも注目に値します。1789年から行われていたという記録もあり、パチャママ（地母神）信仰とキリスト教の聖母マリア信仰が結びついた、創造の母への捧げものとして始まったと伝えられています。また、スペイン侵略者を悪魔（ディアブロ）と重ね合わせ、その恐怖や抵抗の念が踊りに表現されているとも考えられています。

オルロのカーニバルでは、様々な踊りが見られます。カポラル、モレナダ、ディアブラーダといった代表的な踊りのほか、サヤ（ネグリート）、スーリシクーリ、リャメラダ、ティンク、トーバス、アンタワラ、サンポニャーダ、タルケアーダ、インカス、ドクトルシート、クジャワダ、ワカワカ、パラグアージョスなど、実に多様な踊りが存在します。それぞれの踊りは独自の衣装、音楽、そして物語をもち、オルロの豊かな文化を象徴しています。

カーニバルの踊りは、数十人から数百人のグループが市内を練り歩き、中心部のソカボン広場での審査の後、寺院でミサを受けるという形式で行われます。ミサへの参加は、信仰の深さを示す重要な儀式であり、踊り終えた人々にとって大きな喜びとなります。カーニバル期間中は、水掛けのいたずらも盛んに行われ、見知らぬ人に水をかけられることも珍しくありません。オルロは高地にあるため、水に濡れると非常に寒く、参加者には防寒対策が必須です。

オルロのカーニバルは、2001年にユネスコによって「人類の口承及び無形遺産の傑作」に宣言され、2009年には無形文化遺産に登録されました。このことは、オルロのカーニバルが世界的に認められた文化的価値を持つことを示しています。

交通の便としては、オルロからはウユニ塩湖への観光列車が出ています。かつてはラパスまで鉄道が通っていましたが、現在はラパス～オルロ間は長距離バスが主要な交通手段となっています。数多くの民間バス会社が運行しており、1時間あたり数本のバスが運行しているため、アクセスは比較的容易です。ラパスまでの所要時間は約3時間で、全線舗装道路となっています。

オルロは、歴史、文化、そして未来への可能性が共存する魅力的な都市です。リチウム資源開発による発展に期待しつつ、独特のカーニバル文化がこれからも大切に受け継がれていくことを願ってやみません。

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