オルーミーイェ湖

オルーミーイェ湖（ウルミア湖）

オルーミーイェ湖は、イラン北西部に位置する広大な塩湖であり、かつては面積約5,960平方キロメートルを誇るイラン最大の湖でした。ウルミア湖、ウルミエ湖とも呼ばれています。かつては中東においてカスピ海に次ぐ巨大な塩湖であり、最も深い場所では水深16メートルに達していました。

特徴

湖には大小の島々が点在し、多様な動植物が生息する重要な生態系を育んでいました。特に、オオフラミンゴやモモイロペリカンなどの渡り鳥にとって重要な休憩地であり、周辺には広大な塩類平原が広がっていました。島々の植生は特徴的で、ピスタチオの森やヨモギ属のステップなどがみられ、南部の島にはペルシアダマジカやムフロンといった希少な動物も生息していました。

この豊かな自然環境は国立公園に指定され、1975年にはラムサール条約、1976年にはユネスコの生物圏保護区に登録されました。

水位低下と環境問題

しかし、2000年代以降、オルーミーイェ湖は深刻な水位低下に直面しています。流入河川におけるダム建設の影響などにより、過去20年間で水位が著しく低下し、現在では湖の半分以上が干上がって湖底が露出する事態となっています。湖の縮小は、周辺地域に深刻な環境問題を引き起こしています。乾燥した湖底からは塩分が舞い上がり、周辺農地の塩害や大気汚染による健康被害が懸念されています。

かつてオルーミーイェ湖の西岸に位置するオルーミーイェと東岸のタブリーズの間には、フェリーが運航していました。しかし、湖岸線の後退に伴い、船着き場の移動や新たな船着き場までの道路建設を余儀なくされ、2008年9月にはついに航路が停止されました。

保護活動

長年、戦争などの影響で十分な保護活動が行われていませんでしたが、2013年以降、本格的な保護活動が開始されました。節水対策として、水の消費量が少ない作物の栽培を奨励したり、蒸発量の少ない夜間に水を撒くなどの指導が行われました。その結果、水の使用量を30%削減しながら、生産量を50%増加させるという成果も得られました。さらに、Kani Sibダムから湖へ水を供給するためのトンネル建設も進められています。

2021年には、日本とイラン両国政府が国際連合開発計画（UNDP）と連携し、「オルミエ湖その他湿原における環境管理及び持続可能な生計促進計画」に関する無償資金協力の文書に署名しました。この協力により、日本政府から3億1,300万円が供与され、湖の水資源管理の改善と周辺地域の持続可能な開発が推進される予定です。

オルーミーイェ湖の再生は、イランだけでなく、国際社会にとっても重要な課題です。今後の保護活動の進展が期待されます。

外部リンク

LakeNet Urmia)
About Lake Urmia)
Tourism in Urmia)
Lake Urmia (or Orumiyeh) | Ramsar Sites Information Service)

もう一度検索