オーガスタス・ハーヴィー (第3代ブリストル伯爵)

オーガスタス・ジョン・ハーヴィー提督

オーガスタス・ジョン・ハーヴィー提督（1724年5月19日 - 1779年12月23日）は、イギリス海軍士官および政治家として名を馳せた。その生涯は海軍での華やかな経歴や、多くの政治的役割を通じて、特に七年戦争における彼の功績が際立っている。また、女性遍歴により「イギリスのカサノヴァ」としての一面も持ち合わせていた。

初期の経歴

ハーヴィーは第2代ハーヴィー男爵の次男として誕生し、1733年よりウェストミンスター・スクールで教育を受けた。1735年にイギリス海軍に加わり、1740年には大尉に昇進。その後、1747年には勅任艦長に昇進し、3等艦プリンセスの指揮を任される。1752年にはポスト・シップのフェニックスの艦長に就任し、1756年5月のミノルカ島の海戦でその指揮を執った。

軍歴

ハーヴィーはその後、様々な艦の指揮をすることになる。ミノルカ海戦後も、4等艦ディファイアンスや3等艦ハンプトン・コート、さらには3等艦モンマスの指導を行った。特に1759年のフランス艦との遭遇戦での戦功は際立っており、エドワード・ホーク提督に多大な支援を行った。

1760年には3等艦ドラゴンの艦長として再度重要な戦に参加し、1761年のベル＝イル占領や1762年のマルティニーク島侵攻、ハバナの戦いにも参戦した。七年戦争が1763年にパリ条約で終結するまで、ハーヴィーは西インド諸島での戦功を重ね、戦後も名目上の地中海艦隊指揮官として名を馳せる。1775年には少将、1778年には中将に昇進している。

政歴

軍人としての経歴に加え、ハーヴィーは政治の世界でも活動を展開した。1757年から1763年までバーリー・セント・エドマンズ選挙区から議員を務め、次いで1763年から1768年までソルタッシュ選挙区の議員に選出された。1775年にブリストル伯爵を継承し、その後は貴族院に移籍したため、庶民院での被選挙権を失った。

ハーヴィーは議会において活発に発言し、時には定期刊行物への寄稿も行った。1765年から1766年にはオーガスタス・ケッペル提督との緊密な関係を築き、彼を強く弁護した。また、1763年から1775年まで国王ジョージ3世の寝室宮内官を務め、1766年から1767年にかけてはアイルランド担当大臣を任命された。1771年2月にはノース内閣で第一海軍卿を務め、1775年4月に辞任した。

私生活

私生活では1837年にエリザベス・チャッドリーと秘密結婚したが、1769年には離婚。さらに1775年にはメアリー・ネスビットという元モデルと愛人関係となり、サリーのノーウッド・ハウスに住む。ブリストル伯爵は遺言状でネスビットに財産を残したものの、嫡出子は持たなかった。

1779年12月23日、痛風によりロンドンで亡くなり、サフォークのイックワースに埋葬された。彼の爵位は弟のフレデリックが継承した。ハーヴィーの手紙や航海日誌は多くがイギリス国立公文書館に保存されており、彼に因んで名付けられた地名も少なくない。特に、ジェームズ・クックによって発見されたオーストラリアのハーヴィー湾やアラスカのブリストル湾などがその一例である。

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