オースター オートクラット

オースター J/1 オートクラット

オースター J/1 オートクラットは、1945年から1952年にかけて生産されたイギリス製の軽飛行機です。本機は、第二次世界大戦後にテイラークラフト・エアロプレーンズの技術者たちによって開発され、軍用機「オースター」シリーズを民間向けに転用したモデルとなります。

開発背景

テイラークラフト・エアロプレーンズ・イングランドは、アメリカの航空機メーカーであるテイラークラフトの英国子会社であり、大戦中はイギリス軍向けの観測機「オースター」シリーズの製造に従事していました。しかし、大戦の終幕を迎えるころ、技術者たちは新たに民間向けのツーリング機の開発に着手します。

この過程で、オースターシリーズの最終モデルである「オースター V」を基に、試作機「テイラークラフト オースター V シリーズ J/1 オートクラット」が1945年末に完成します。この時期、アメリカの親会社テイラークラフトは資金難に陥り、会社は破産。その後、テイラークラフト・エアロプレーンズは「オースター・エアクラフト」に改名し、開発機の名称もシンプルな「オースター J/1 オートクラット」に変更されました。

特徴と成功

オースター J/1 オートクラットは、戦後のイギリス製軽飛行機の中で最も成功した機体の一つとして知られています。1945年から1952年までの間に、農業機モデルなどの派生型も含め、約500機が生産されました。国内では使用されなかったものの、いくつかの国の軍隊では連絡機や観測機として運用されることがありました。

形式と派生型

J/1 オートクラットにはいくつかの派生型が存在します：

• - J/1 オートクラット：基本モデルであり、ブラックバーン シーラス・マイナーエンジンを搭載。
• - J/1A オートクラット：4人乗りのモデル。
• - J/1B エイグレット：農業機モデルで、デ・ハビランド ジプシー・メジャー Iを搭載。
• - J/1N アルファ：尾翼を大型化した4人乗りモデル。
• - J/1S オートクラット：デ・ハビランド ジプシー・メジャー 10を搭載したモデル。
• - J/1U ワークマスター：J/1N アルファの農業機バージョン。

運用国

オースター J/1 オートクラットは、イラン、イスラエル、クウェート、ヨルダン、ローデシア、南ローデシアなどいくつかの国で運用されました。特にイスラエル空軍は独立戦争時にテルアビブ飛行隊やガリラヤ飛行隊で本機を採用しました。

技術的要目

本機の基本的な諸元は以下の通りです：

• - 乗員：通常 3名
• - 全長：7.1 m
• - 全幅：10.97 m
• - 全高：1.98 m
• - 翼面積：17.19 m²
• - 空虚重量：478 kg
• - 全備重量：841 kg
• - エンジン：ブラックバーン シーラス・マイナー（100 hp）
• - 最大速度：194 km/h
• - 巡航高度：4,300 m
• - 航続距離：515 km

オースター J/1 オートクラットは、そのシンプルな設計と多目的性により、民間及び軍用の両方で長きにわたって重宝されました。

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