オースチン・モンテゴ

モンテゴ

概要

モンテゴ（Montego）は、英国の自動車メーカー、オースチン・ローバー・グループおよびその後身であるMGブランドから、1984年から1994年にかけて生産・販売された4ドアセダンです。最初の期間、1984年から1991年まではオースチン・ローバー・グループの主力モデルとして展開され、その後1992年から1994年までの期間は、MGブランドのもとでエンジン仕様や装備内容を一部変更した上で販売が継続されました。

本モデルは、主要市場であったイギリス国内に加え、ヨーロッパ各国など海外へも積極的に輸出されました。特に、登場した1984年当時には、高度なドライビングテクニックを持つスタントドライバー、ラス・スウィフトを起用し、派手なターンや狭いスペースでのドリフト駐車といったアクロバティックな走行シーンを捉えたテレビコマーシャルが放映され、その印象的な映像は多くの人々の記憶に残りました。しかしながら、当時のブリティッシュ・レイランド系車両にしばしば見られたように、ボディの錆びやすさや全体の組み立て品質に対する批判的な意見も少なくなく、一般市場での評判は必ずしも良好とは言えませんでした。それでも、構造が比較的シンプルで、改造やカスタマイズがしやすいという特性から、当時の自動車愛好家や若者たちの間ではカスタムベース車両として一定の支持を集めました。現在でも、イギリス国内では中古車市場において、オンラインオークションや一部の専門店を通じて比較的安価で取引されています。日本市場へは、当時の正規輸入代理店であったオースチンローバージャパンによって輸入・販売が行われていました。

開発とメカニズム

モンテゴの開発プロジェクトは、既に販売されていたモーリス・イタルの後継となるミドルサイズセダンとして、1984年に結実しました。開発にあたっては、当時イギリス市場で大きなシェアを持っていたフォード・シエラやボクスホール・キャバリエといった競合車種を強く意識し、競争力のあるモデルを目指しました。デザインチームは、デビッド・ベイチュ、ロジャー・タッカー、ロイ・アックス、イアン・ビーチといった、当時のブリティッシュ・レイランドに所属するデザイナーたちが担当しました。

メカニズム面では、一般的なFF（フロントエンジン・フロントドライブ）方式を採用し、パワートレインには直列4気筒エンジンが搭載されました。排気量は1.3リッター、1.6リッター、2.0リッターといった複数のラインナップが用意されました。特に注目すべきは、開発の翌年にあたる1985年、オースチン・ローバー・グループの業績改善を目指して導入された高性能モデル「MGモンテゴターボ」です。このモデルに搭載された2.0リッターターボエンジンは、当時のセダンとしては非常に高いパフォーマンスを発揮し、静止状態から時速100kmまでの加速はわずか7.2秒という優れた数値を記録しました。これは、当時の同クラスセダンと比較して上位に位置する加速性能でした。MGモンテゴターボは、ブランド戦略の見直しにより、1991年に生産を終了しました。

装備についても、特に1.6リッターモデルなどの中間グレード以上では、手動式のサンルーフ、ステレオカセットデッキ、パワーウィンドウなどが標準装備として設定されました。これは、当時の欧州における同クラスの自動車と比較すると、比較的充実したパッケージ内容と言えるものでした。また、イギリス国内での新車価格は1万ポンドをわずかに下回る程度、日本円に換算して当時のレートで約200万円前後と、欧州市場の同カテゴリーのセダンの中では手頃な価格設定であったことも、モンテゴの普及を後押しする一因となりました。

関連車種

モンテゴは、同時期に販売されていた5ドアハッチバックモデルであるオースチン・マエストロと、プラットフォームや主要コンポーネントの多くを共有する兄弟車関係にありました。また、モンテゴの実質的な後継モデルとして、後にローバー・400シリーズが登場しています。

参考文献:
GAZOO 名車館 オースチン モンテゴ ターボ 概要
GAZOO 名車館 オースチン モンテゴ 概要

もう一度検索