オースミタイクーン

オースミタイクーンは、1991年3月23日生まれの競走馬で、輝かしい競走生活と、惜しまれる引退劇で知られています。その血統背景からデビュー前から大きな期待を集め、1994年1月、新馬戦を圧倒的な強さで制しました。しかし、その後骨折というアクシデントに見舞われ、1年以上も戦列を離れることになります。

4歳シーズンを棒に振ったオースミタイクーンでしたが、1995年4月の復帰後は着実に力をつけていきます。条件戦を勝ち上がり、12月にはオープン入りを果たしました。翌1996年には東京新聞杯で落馬、マイラーズカップでも不利な展開に見舞われ、勝利には届きませんでした。しかし、持ち前の能力で勝ち星を重ねていきます。

しかし、GI級のレースでは苦戦が続き、1997年を迎えます。この年のマイラーズカップでは、休み明けであり、重賞未勝利という不安要素から、11番人気という低評価でした。それでもオースミタイクーンは、直線で鋭く伸び上がり、見事優勝を飾ります。このレースで騎乗していた武幸四郎騎手は、前日デビューしたばかりの新人ジョッキーで、初勝利がいきなり重賞制覇という快挙となりました。この出来事は当時、大きな話題を呼びました。

その後、オースミタイクーンは武幸四郎騎手とのコンビで、秋にはセントウルステークスも制覇。この年は有馬記念でも5着と健闘し、充実したシーズンとなりました。1998年シーズンは勝利こそありませんでしたが、京王杯スプリングカップでGI馬タイキシャトルに僅差の2着に入るなど、マイル路線で活躍を続けました。しかし、有馬記念で右前屈腱炎を発症。高齢であったこともあり、現役を引退することになります。

引退後は種牡馬として静内スタリオンステーションで繋養されました。しかし、父ラストタイクーンの日本での産駒成績が振るわなかったことや、オースミタイクーン自身の重賞勝利がすべて人気薄での勝利であったことなどから、種牡馬としての需要は低く、種付け頭数は低迷しました。静内スタリオンステーションから白井牧場を経て、最終的には青森県のワールドファームで繋養されましたが、2007年に種付け頭数がゼロとなり、用途変更となりました。その後の消息は不明です。

競走馬としての活躍だけでなく、オースミタイクーンは血統面でも注目を集めています。半兄には1991年ダービーステークス、アイルランドダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを制したジェネラス（父：カーリアン）、半妹には2001年アイリッシュ1000ギニーとイギリスオークスを制したイマジン（父：サドラーズウェルズ）がいます。これらの馬も一流の競走馬として活躍しており、オースミタイクーンの血統の素晴らしさを示しています。

種牡馬としては大きな成功は収めませんでしたが、2005年生まれの牝馬トレジャースマイルは、額のハート型の流星が人気を集め、岩手競馬のアイドル的な存在となりました。オースミタイクーンは、競走馬として、そして血統馬として、競馬界に大きな足跡を残したと言えるでしょう。その短いながらも華々しい競走生活、そしてその後の種牡馬生活は、多くの競馬ファンにとって記憶に残るものとなっています。彼の活躍は、今もなお語り継がれています。

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