オート・メラーラMod56 105mm榴弾砲

オート・メラーラMod.56 105mm榴弾砲

オート・メラーラMod.56は、1950年代にイタリアのオート・メラーラ社によって設計された山岳用榴弾砲です。主にイタリア陸軍のアルピーニ部隊が使用する火力支援のために開発され、軽量で機動性に優れた特性を持っています。

概要

Mod.56榴弾砲は、第二次世界大戦後にアメリカから供与されたM116 75mm榴弾砲の後継として誕生しました。この砲は、たった12個の部品からなり、容易に分解と組み立てが可能です。牽引は車輌のほか、馬やロバ、さらにはヘリコプターに積むことができ、パラシュートからの投下も実施可能なため、戦略的な機動力を持っています。また、装備されている防盾は必要に応じて取り外すことができ、射撃体制を変えることが可能です。

Mod.56榴弾砲は、イタリア国内だけでなく、オーストラリアやイギリス、ニュージーランドを含む30カ国以上で採用されてきました。特に1960年代には、イギリス軍がQF 25ポンド砲の後継としてMod.56を選定し、L5 105mm榴弾砲として制式採用され、イギリス連邦諸国でも幅広く使用されました。主に山岳部隊や空挺部隊、ヘリボーン部隊、海兵隊など、機動力が重視される部隊において火力支援用砲として重宝されています。この榴弾砲は、アメリカ製のM101榴弾砲と併用されることも多く、現在でも多くの国々で現役として運用されています。

フィリピンでは、フロロ・インターナショナル・コーポレーションが、陸軍や海兵隊のMod.56を近代化するための改良型アップグレードキットを開発しました。このキットには、高性能な駐退復座機、半自動開閉機構、自動排出機構などが含まれており、元の部品との交換が可能です。さらには、Mod.56のスペアパーツも同社によって製造されています。

実戦での運用

Mod.56榴弾砲は、ベトナム戦争においてニュージーランド軍によって使用され、南ベトナム解放民族戦線に砲撃を行った例がありますが、その後はアメリカ製のM101榴弾砲に更新されました。また、ローデシア紛争では、政府軍がQF 25ポンド砲とともに使用しており、紛争後もジンバブエ軍での運用が見られます。

フォークランド紛争では、アルゼンチンの陸軍と海兵隊がMod.56を使用しましたが、イギリス軍の国産L118軽量砲により、アルゼンチン軍の戦力は苦戦を強いられました。フィリピンでも、新人民軍やモロ・イスラム解放戦線、アブ・サヤフなどの反政府組織に対する掃討作戦に利用されています。

主なスペック

この榴弾砲の特性を以下に示します：

• - 種別: 軽榴弾砲 / 山砲
• - 口径: 105 mm
• - 重量: 1,290 kg
• - 最大射程: 10,200 m（通常弾）、13,000 m（RAP弾）
• - 発射速度: 3発/分（1時間持続）、4発/分（30分持続）

最大射程や発射速度においても、Mod.56は効果的な火力支援を提供できる設計となっており、今後も多くの国でその性能が活かされていくことでしょう。

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