オードナンス QF 2ポンド砲

オードナンス QF 2ポンド砲

オードナンス QF 2ポンド砲は、第二次世界大戦前にイギリスで開発された40mm口径の戦車砲であり、主に巡航戦車 Mk.I の主砲として搭載されました。イギリスの伝統的な命名規則にのっとり、口径ではなく砲弾重量に基づいて名付けられています。

大戦初期には、多くのイギリス戦車や装甲車の主砲として、フランスや北アフリカ戦線で広く使用されました。戦車砲型だけでなく、対戦車砲型も製造され、歩兵部隊の対戦車大隊に配備されました。対戦車砲型は、車輪を取り外して姿勢を低くすることが可能で、360度旋回できる洗練された砲架を備えていました。牽引にはC8/ATが用いられました。

同時期の他国製37mm砲と比較して、わずかに高い貫通力を持っていましたが、当初は徹甲弾のみが用意されていました。そのため、装甲目標に対しては有効であったものの、榴弾の不足により、北アフリカ戦線では敵の対戦車砲に対する有効な反撃ができず、戦車部隊は大きな損害を被りました。榴弾が配備されたのは1943年以降でしたが、後述するリトルジョン・アダプター装着時には使用できませんでした。また、初期の徹甲弾は、ドイツ戦車の表面硬化処理された装甲に命中した場合、砲弾が砕けて貫通できないという問題があり、APCBC（被帽付徹甲弾）が開発されることになりました。

より強力な6ポンド砲への更新が予定されていましたが、ダンケルクの戦いにおける撤退の際に、対戦車砲を含む重装備を全て放棄せざるを得なかったため、更新は遅れました。ドイツ軍による本土上陸の可能性も考慮し、緊急事態下で新型砲を生産する余裕はなく、2ポンド砲の生産と配備が継続されました。しかし、北アフリカ戦線の後半やイタリア戦線に登場したティーガー重戦車やパンター中戦車に対しては、全く歯が立たず、「ドアノッカー」と揶揄されるほど無力でした。一方、極東戦線においては、日本軍の装甲の薄い戦車に対しては、長期間にわたって有効に使用されました。その後、戦車砲や対戦車砲が6ポンド砲、75mm砲、17ポンド砲に更新された後も、装輪装甲車の武装としては使用が継続されました。

第二次世界大戦後半には、一部の装甲車に「リトルジョン・アダプター」が装着されました。これは、チェコスロバキアから亡命したヤナチェク技師（英語名リトルジョン）が開発したもので、ドイツのゲルリッヒ砲と同様の原理で、タングステン弾芯のAPSV（装弾筒付高速徹甲弾）を40mmから30mmに減口径して発射し、初速を向上させることで貫通力を高めるものでした。しかし、砲身寿命の短さなどの欠点があり、また、2.8cm sPzB41のように対応する榴弾は用意されませんでした。

第二次大戦後には、FV601 サラディン装甲車用の武装として、薬莢のサイズを40×304mm.Rから40×438mm.Rに変更した2ポンド砲 HV Pipsqueakが試作されました。初速1,295m/sのAPDS（装弾筒付徹甲弾）は、射距離約1,000ydおよび弾着角60度の条件で85mmの装甲貫徹力を有していましたが、採用には至りませんでした。

ドイツ軍は、鹵獲した2ポンド砲を4cm PaK 192 (e)として沿岸陣地などに配備しました。

登場作品

ゲーム

R.U.S.E.: イギリス軍の対戦車砲として登場。

関連項目

オードナンス QF 6ポンド砲
オードナンス QF 17ポンド砲
3.7 cm PaK 36
M3 37mm砲
1-K 37mm対戦車砲
ボフォース 37mm対戦車砲
九四式三十七粍砲

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