オールアロング

オールアロングは、フランスで誕生した競走馬として、世界中の競馬ファンを魅了した伝説的な存在です。フランス、アメリカ、イギリス、日本、カナダと、実に5ヶ国もの競走に挑み、その類まれな才能で数々の輝かしいタイトルを獲得しました。特に1983年には、フランスとアメリカの両国で年度代表馬に選出されるという快挙を達成しています。

彼女の競走生活はドラマチックでした。3歳時には、クラシック路線ではやや苦戦し、主要レースでは思うような結果を残せませんでしたが、それでもヴェルメイユ賞で優勝するなど、その潜在能力の片鱗を見せつけていました。年末には凱旋門賞に挑戦するも15着に終わりますが、その後日本に遠征し、ジャパンカップで2着と健闘を見せます。

真価を発揮したのは4歳時です。凱旋門賞の前哨戦であるフォワ賞で2着と好成績を残し、迎えた凱旋門賞では、オークス馬サンプリンセスを退け、見事優勝を飾りました。この勝利は、牝馬による5年連続14回目の優勝という偉業であり、上位6頭中5頭が牝馬という、牝馬の強さを象徴するレースとなりました。

凱旋門賞勝利に続き、オールアロングは北アメリカへの遠征を決断します。凱旋門賞からわずか2週間後には、カナダのロスマンズインターナショナルステークスを制覇。さらに、そこから約1ヶ月という短い期間のうちに、アメリカのターフクラシック招待とワシントンDCインターナショナルを圧勝、それぞれ8馬身4分の3差、3馬身4分の1差という圧倒的な強さで勝利を収めました。北アメリカの芝3大レースを史上初めて制覇した瞬間でした。凱旋門賞からわずか41日後という驚異的なスピードでの達成は、彼女の驚異的なスタミナと才能を証明するものでした。この年の活躍により、フランスとアメリカで年度代表馬に選ばれ、その名を世界に轟かせました。

翌年には凱旋門賞で3着に入るなど、その実力は衰えることはありませんでしたが、新たな勝利を掴むことはありませんでした。その後、ブリーダーズカップ・ターフで2着となった後、競走馬としてのキャリアに幕を閉じます。

1990年、アメリカの競馬名誉の殿堂博物館に選出され、その功績は後世に語り継がれることとなりました。

引退後はアメリカ・ケンタッキー州で繁殖牝馬として活躍しました。その産駒には、フランスで活躍したアロングオール（種牡馬）など、優秀な競走馬が数多く誕生しています。2003年に繁殖牝馬を引退し、2005年に老衰のため亡くなりましたが、その血統は現在も受け継がれ、2023年には、オールアロングのひ孫にあたるミックファイアが南関東大井競馬場で羽田盃、東京ダービー、ジャパンダートダービーを制覇するなど、その血統の偉大さを証明しています。

オールアロングは、卓越した競走能力、類まれなスタミナ、そして気品あふれる走りで、世界中の競馬ファンを魅了し続けました。その功績は、単なる競走馬の枠を超え、競馬史に燦然と輝く一ページを刻み込みました。彼女の伝説は、これからも語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索