オール野党

オール野党とは

「オール野党」とは、地方自治体において、首長（知事や市長など）の所属政党または政治的立場が、議会における少数派である状態を指します。つまり、首長が提案する政策に対し、議会の多数派が反対する構図となることを意味します。

概要

地方自治においては、首長は住民の直接選挙によって選ばれます。一方、議会は議員によって構成され、条例の制定や予算の議決など、自治体の重要な意思決定を行います。首長と議会の多数派の意見が対立すると、以下のような問題が生じやすくなります。

政策の実現困難: 首長が提案する政策が議会で否決されやすくなり、行政運営が停滞する可能性があります。
議会運営の混乱: 議会で首長に対する不信任決議が可決される可能性が高まり、首長が辞職に追い込まれることもあります。

日本の国政におけるオール野党

日本の国政においては、大日本帝国憲法下で内閣総理大臣が天皇によって任命されていた時代には、議会の意向が内閣に直接反映されにくく、オール野党状態が頻繁に発生しました。

しかし、日本国憲法下では、内閣総理大臣は国会の指名に基づいて天皇が任命するため、衆議院の多数派の支持を得ることが不可欠となりました。そのため、組閣において国会での多数派から任命されるようになり、首班指名選挙で支持した政党が野党に寝返るなど「少数与党」状態でのみこの状態が発生するレアケースとなりました(羽田内閣が該当する)。

地方政治におけるオール野党

地方政治においては、議会の多数派が保守系の議員で占められていることが多く、首長が革新的な政策を打ち出した場合にオール野党の構図になりやすい傾向があります。また、首長選挙において、与野党が推薦する候補が落選し、別の候補が当選した場合にも、オール野党と呼ばれる状況が生じやすくなります。

近年では、首長が議会への十分な説明を行わずに大胆な政策を推進しようとした結果、議会との間に軋轢が生じ、オール野党状態に陥るケースも見られます。

オール野党と言われた現象（過去の事例）

以下に、過去にオール野党状態になったとされる事例をいくつか紹介します。

橋本大二郎 高知県知事と高知県議会
青島幸男 東京都知事と東京都議会※
大田正 徳島県知事と徳島県議会
田中康夫 長野県知事と長野県議会※
小池百合子 東京都知事と東京都議会※
矢野裕 狛江市長と狛江市議会
吉田万三 足立区長と足立区議会
河村たかし 名古屋市長と名古屋市議会※
長尾淳三 東大阪市長と東大阪市議会
仲川げん 奈良市長と奈良市議会※
山下真 生駒市長と生駒市議会※
山下真 奈良県知事と奈良県議会※
竹山修身 堺市長と堺市議会※
西端勝樹 守口市長と守口市議会※
竹原信一 阿久根市長と阿久根市議会※
斎藤元彦 兵庫県知事と兵庫県議会※

※は日本共産党も野党である議会

関連項目

ねじれ現象： 参議院と衆議院で多数派が異なる状態。
コアビタシオン： フランスなどにおける、大統領と首相の所属政党が異なる状態。
問責決議： 議会が閣僚などの責任を問う決議。
辞職勧告決議： 議会が首長などに対し、辞職を勧告する決議。
* オール与党： 議会の過半数を首長与党が占めている状態。

まとめ

オール野党は、地方政治における首長と議会の対立構造を示す現象であり、政策の実現や議会運営に大きな影響を与えます。その背景には、首長の政治姿勢や議会の構成、住民の意向など、様々な要因が絡み合っています。

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