カイコウラ

カイコウラ：自然と海洋生物が息づくニュージーランドの港町

カイコウラ（Kaikoura）は、ニュージーランド南島、カンタベリー地方の北東部に位置する美しい港町です。マオリ語で「イセエビを食べる場所」という意味を持ち、その名の通り、豊かな海洋資源に恵まれています。特にホエールウォッチングは世界的に有名で、多くの観光客を魅了しています。

歴史

カイコウラには、900年以上前からマオリ族が住み着いていました。彼らは巨鳥モアを追いかけ、この地に定住したと言われています。1770年には、ジェームズ・クックがカイコウラ半島を発見し、その後ヨーロッパからの入植が始まりました。

1843年には捕鯨基地が設立され、捕鯨が盛んに行われましたが、1850年以降、鯨の数が激減したため、農業や酪農へと産業転換が行われました。1964年にはニュージーランドでの捕鯨は禁止され、1978年には海洋哺乳類保護法が施行され、鯨やイルカなどの海洋生物保護が始まりました。

1980年代後半には、マオリ族の失業問題と地域経済の低迷を背景に、環境保護と観光業を組み合わせたエコツーリズム会社が設立されました。カイコウラの地形や環境を活かしたホエールウォッチングは成功を収め、現在では年間100万人以上の観光客が訪れる人気の観光地となりました。

地形

カイコウラ半島と東岬の間には、水深1000から2000ファゾムにも及ぶヒカランギ海溝が存在します。この海溝は暖流と寒流が交わるため、豊富なプランクトンが発生し、イカやタラなどの魚が集まります。そして、これらの魚介類を求めて、鯨やイルカなどの海洋哺乳類も集まってきます。また、南アルプス山脈から分岐したカイコウラ山脈（シーワード・カイコウラ山脈）には、マナカウ山（標高2,608m）やファイフ山（標高1,602m）などの山々が連なっています。

観光

カイコウラでは、年間を通して様々なエコツアーが開催されています。特に人気が高いのは、ホエールウォッチング、イルカと泳ぐツアーなどです。町には小規模な宿泊施設、商店、飲食店、工芸品店などがあり、観光客で賑わっています。

主なエコツアー

ホエールウォッチング: 船で沖に出て、マッコウクジラやザトウクジラ、シロナガスクジラなどのクジラを観察するツアーです。ガイドによる詳しい説明があり、写真撮影も可能です。イルカの群れに遭遇することもあります。
ドルフィン・スイミング: 保護スーツとシュノーケルを着用して、イルカと一緒に泳ぐツアーです。ハラジロカマイルカやシャチなどと一緒に泳ぐことができ、稀にクジラとイルカが一緒に泳いでいる場面に出会うこともあります。
ファーシール・スイミング: オットセイと一緒に泳ぐことができるツアーです。
シール・コロニー: ニュージーランド・オットセイや海鳥、アルバトロス（アホウドリの一種）などの生息地、繁殖保護区を見学できます。

この他にも、アホウドリなどの海鳥を観察するツアーや、セスナやヘリコプターで上空からクジラを探すツアーなど、様々なエコツアーが用意されています。

環境

カイコウラは、持続可能な観光を目指し、環境保護にも力を入れています。2002年には、国際的な環境認証システムである「グリーン・グローブ」に認定されました。年間を通して地域人口の300倍以上の観光客が訪れるため、環境対策は重要な課題であり、地域住民と観光業界が一体となって、ゴミ削減、リサイクル、省エネ、植林活動などに取り組んでいます。

交通アクセス

クライストチャーチからは国道1号線を北上し、車または高速バスで約2.5時間から3時間で到着します。ピクトンからは約2時間です。クライストチャーチ発の日帰りツアーも人気で、ほぼ毎日開催されています。

また、クライストチャーチやピクトンからは鉄道でカイコウラに行くこともできますが、本数が少ないため、事前に確認が必要です。鉄道を利用したツアーも存在します。

外部リンク

カイコウラ情報＆観光（英語）
カイコウラ地区評議会（英語）

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