カイヅカイブキ

カイヅカイブキ（貝塚伊吹）

カイヅカイブキ（学名: Juniperus chinensis 'Kaizuka'）は、ヒノキ科に属するビャクシン属の珍しい栽培品種であり、その名の「カイヅカ」はその由来が不明です。この樹木は常緑の針葉樹で、高さは約5から15メートルに達する高木ですが、剪定によって低木の形状にも仕立てることができます。カイヅカイブキの特色は、ねじれた枝が炎のように巻き上がり、非常に独特な樹形を呈している点です。

特徴

カイヅカイブキは、その外観において特有な性質を持っています。 樹幹は太くて直立の形をし、また幹自体もねじれた形状を形成します。樹皮は赤褐色で、表面は粗く、縦に裂ける様子が見られるため、まるで自然の装飾が施されているようです。下部から見上げると、枝が密に分枝し、立体的な炎のような形を形成する様子が確認できます。

葉は基本的に鱗片状であり、長さは約2から4ミリメートルです。葉は主に十字に対生しており、断面は丸みを帯び、表裏の区別が難しい構造をしています。特に、剪定を行うことで、針葉が形成されることもありますが、この場合は珍しい現象です。

この樹木は雌雄異株が基本ですが、まれに雌雄同株の個体も見られます。花が咲くのは春の4月で、実を結ぶのは翌年の秋です。球果は直径6から7ミリメートルの液果状で、熟すと黒紫色を帯び、粉白色の粉を持っています。

人間との関わり

カイヅカイブキは中国、台湾、日本（特に関西地域から沖縄）、そして朝鮮半島に至るまで広く栽培されており、公園、庭園、生垣、街路樹としてよく用いられています。特に昭和期には、その特有の風合いと視覚的な遮蔽効果から、庭木や生垣として非常に人気がありました。カイヅカイブキがイブキ（ビャクシン）から選抜されたという説や、ミヤマビャクシンからの選抜とされる説の両方があります。

この樹木は日当たりの良い肥沃な土地を好みますが、日陰や砂地でも生育可能です。低温には敏感ですが、乾燥や潮風、大気汚染などには強く、刈り込みにも耐えられます。そのため、高速道路の脇などの強い剪定が求められる場所でも見かけることができます。繁殖方法としては春に挿し木による増殖が一般的で、実からの育成も行われています。

また、カイヅカイブキは農業にも間接的な影響を及ぼします。ビャクシンの仲間はナシやリンゴに害をもたらす赤星病菌の中間宿主とされているため、ナシの栽培地域などでは注意が必要で、植栽を避けるように呼びかけている市町村も増えています。

地方自治体の木

日本国内では、以下の自治体がカイヅカイブキを各々のシンボルツリーとして定めています。

• - 岐阜県羽島市
• - 滋賀県栗東市
• - 大阪府貝塚市
• - 岡山県都窪郡早島町

また、韓国の済州特別自治道でもカイヅカイブキが学校の木として指定されていますが、一部の教育界では日帝残滓とみなし、伐採の訴えもあるようです。

この樹木は歴史や文化とも深く関わっており、今後もその独自の特性を活かしながら、多様な環境での使用が期待されています。

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