カサゴ

カサゴ（Sebastiscus marmoratus）

カサゴは、スズキ目フサカサゴ科に属する魚で、日本近海を含む西太平洋の暖海域に生息しています。沿岸の岩礁や海中林などを住処とし、食用魚として様々な料理に用いられています。

名称の由来

学名であるSebastiscusは、ギリシア語の「尊厳」を意味する言葉に由来し、種小名のmarmoratusは大理石模様を意味します。

和名の由来は、頭部が笠をかぶっているように見えること、または皮膚が爛れたように見えることに由来するとされています。地域によって「デカガシラ」「がしら」「ほご」「あらかぶ」など、様々な方言名で呼ばれています。

英語では、その模様から「marbled rockfish（大理石模様の岩礁の魚）」と呼ばれています。

形態

全長は最大で30cm、体重は2.8kgに達します。体色は赤色から褐色で、不規則な薄色斑が見られますが、生息環境や個体によって変異があります。近縁種のメバルに比べて体が丸く、目が小さく、口が大きいのが特徴です。

浅い場所に棲むカサゴは褐色、深い場所に棲むカサゴは鮮やかな赤色をしています。これは、深海では赤色光が吸収されやすいため、赤色の体色が保護色として機能するためと考えられています。

近縁種のウッカリカサゴとは外見が酷似していますが、体表の白点の縁取りの有無などで区別できます。鰭や頭部の棘には毒腺があり、刺されると痛みを伴います。ただし、毒の強さについては諸説あります。

生態

北海道南部から朝鮮半島、中国、台湾、フィリピンにかけての海域に分布しています。海岸近くから水深200m程度の岩礁域に生息し、海底で生活することが多いです。夜行性で、夜になると餌を探して泳ぎ出します。

肉食性で、ゴカイ、甲殻類、小魚などを捕食します。卵胎生で、体内で受精し、仔魚を産みます。秋に交尾したメスは、数万匹の仔魚を産みます。産仔時期は11月から3月で、産仔回数は2回、産仔間隔は13日から22日間であることがわかっています。

人間との関わり

日本では、江戸時代に武家に好まれ、端午の節句に飾られる縁起の良い魚でした。現在では釣りの対象魚として人気があり、防波堤や岩場から比較的簡単に釣ることができます。特に夜に活発で、生きたスジエビ、イソメ、イカの切り身などを餌に使います。

近年では、ソフトルアーを使ったルアーフィッシングの対象魚としても人気が高まっています。遊泳性が低く移動が活発でないため、釣られ尽くしの状態が起きやすく、種苗放流が行われています。

食材としてのカサゴ

外見はグロテスクですが、白身で美味なため、和食・洋食ともに様々な料理に使われます。鍋料理、潮汁、煮付け、塩焼き、唐揚げなどで食されます。刺身や寿司にも用いられます。

大衆文化におけるカサゴ

特撮テレビ番組『ウルトラQ』に登場する怪獣ガラモンの顔は、カサゴの顔をモチーフにデザインされています。

関連項目

メバル - 比較的近縁の種
魚の一覧

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