カザフスタン宇宙局

カザフスタン宇宙局（Kazcosmos）

カザフスタン宇宙局（Kazcosmos）は、カザフスタンの宇宙開発を担う重要な機関として、2007年3月27日に設立されました。正式名称はカザフ語で「Қазақстан Республикасы Ұлттық ғарыш агенттiгiнiң」であり、現在の局長は元宇宙飛行士のタルガット・ムサバイエフ氏が務めています。

宇宙開発の重点分野

カザフスタンは、宇宙開発において特に衛星通信分野の発展に力を入れています。この目標を達成するために、2004年にはアッコル市にカザフスタン共和国宇宙通信センターが開設されました。また、2006年6月にはカザフスタン初の通信衛星であるKazSat-1がバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。しかし、設計寿命10年とされていたKazSat-1は、2008年6月に通信が途絶してしまいました。

その後、後継機となるKazSat-2の打ち上げが計画されましたが、度重なる延期を経て、2011年6月16日にようやくプロトンロケットによって打ち上げられました。

宇宙飛行士派遣計画と財政危機

カザフスタンは、独自の宇宙飛行士を育成し、国際宇宙ステーション（ISS）に派遣する計画も持っていました。2009年9月には韓国の李素妍氏のように、自国の宇宙飛行士をISSへ派遣する計画が進められていましたが、2008年の世界金融危機による予算削減のため、2009年4月に計画は中止となりました。財政的な制約が、宇宙開発計画に大きな影響を与えることを示す事例と言えるでしょう。

バイコヌール宇宙基地と射場

カザフスタンの領内には、旧ソ連時代から存在するバイコヌール宇宙基地があります。しかし、この基地は年間1億1500万ドルでロシアにリースされており、司法権と統括権もロシア側にあります。そのため、カザフスタンはロシアとの協力関係を維持しつつ、自国の宇宙開発を進める必要に迫られています。

また、ロシアと共同でバイコヌール宇宙基地に「バイテレク」と呼ばれる新しい射場を建設する計画も存在します。この新射場は、ロシアとカザフスタンが共同で開発した新型ロケットの発射に使用される予定で、2012年までの完成と2013年の初打ち上げが目標とされていましたが、こちらも金融危機の影響で遅延が予想されています。

国際協力

カザフスタンは、宇宙開発において国際協力も重視しています。2009年5月には、ヨーロッパの大手宇宙企業であるEADS アストリアム社と協力協定を締結し、100名以上のカザフスタン技術者の教育訓練、共同衛星インテグレーションセンターの設置、光学観測衛星2基の製作、SPOT衛星やTerraSAR-X衛星の地上受信局の建設などを進める計画です。

また、2009年1月には、バンコクで開催された第16回アジア太平洋地域宇宙機関会議（APRSAF-16）において、日本の宇宙航空研究開発機構（JAXA）との間で協力協定を締結し、アジア地域における宇宙開発の連携を深めています。

まとめ

カザフスタン宇宙局は、衛星通信の開発を中心に、宇宙開発を積極的に進めています。国際協力も重要な要素となっており、今後の発展が期待されます。しかし、財政的な課題や国際的な政治情勢の変化など、多くの課題も抱えています。これらの課題を克服し、カザフスタンの宇宙開発がさらに発展していくことが期待されます。

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