カシオペア (列車)

寝台特急カシオペア：北の夜空を彩った豪華列車

「カシオペア」は、かつてJR東日本・JR北海道などが上野駅 - 札幌駅間で運行していた臨時特別急行列車です。1999年から2016年まで運行された寝台特急「カシオペア」に加え、現在は団体専用列車「カシオペアクルーズ」「カシオペア紀行」として、その豪華な姿を再び見せています。

寝台特急「カシオペア」の誕生

本州と北海道を乗り換えなしで結ぶ寝台特急として、「北斗星」や「トワイライトエクスプレス」が人気を博していましたが、カシオペアは更なる高水準のサービスを目指し、JR東日本がE26系客車を新たに製造。全客室を2名用A寝台個室とするなど、フラッグシップトレインとして1999年7月に運行を開始しました。

全室個室という贅沢さから、他の寝台特急よりも高額な寝台料金にもかかわらず、カシオペアは常に高い人気を誇り、乗車券は発売と同時に売り切れることも珍しくありませんでした。臨時列車としての運行だったため、JRサイバーステーションでの検索対象外でしたが、JR東日本の「えきねっと」などで予約状況を確認できました。

2015年に「北斗星」が定期運行を終了してからは、上野駅発着の唯一の寝台特急となり、日本で唯一、機関車牽引で運行する一般利用の寝台特急として注目を集めました。

列車名の由来

列車名は、夜空に輝くカシオペヤ座（カシオペア座）に由来します。北極星を中心に北斗七星と対をなし、一晩中北の空に輝く星座であること、そしてW型の形状が「オールダブルデッカー」「オール2人用個室」を連想させることから名付けられました。

存続の危機と復活

北海道新幹線の開業に伴い、青函トンネルを含む区間の架線電圧が昇圧されることになり、従来の機関車が使用できなくなるため、カシオペアは2016年3月で廃止される可能性が高まりました。しかし、関係各所の尽力により、団体専用列車として運行を再開。豪華な内装や設備はそのままに、「カシオペアクルーズ」「カシオペア紀行」として新たな旅を提供しています。

運行ルートと停車駅

一般販売時代のカシオペアは、上野駅を出発し、大宮、宇都宮、郡山、福島、仙台などを経由して、函館、森、八雲、長万部、洞爺、伊達紋別、東室蘭、登別、苫小牧、南千歳を経て札幌駅に到着しました。現在は、団体専用列車として様々なルートで運行されています。

使用車両：E26系客車

カシオペアで使用されたE26系客車は、全車両が2階建て（ラウンジカーのみハイデッカー構造）。12両編成で、10両が客室、他にダイニングカーとラウンジカーが連結されています。すべての寝台が2名用A寝台個室で、開放式A寝台やB寝台はありませんでした。

客室設備

全客室には、トイレ・洗面台、個別空調、液晶モニタ、BGM放送装置などが完備。ウェルカムドリンクやモーニングコーヒー、朝刊サービスも提供されました。特に「カシオペアスイート」と「カシオペアデラックス」には、シャワーブース、ミニバーセットなどが用意され、より贅沢な空間を提供していました。

食事：ダイニングカー

3号車に連結されたダイニングカーでは、フランス料理や懐石御膳などの本格的な料理が提供されました。ディナータイムは事前予約制でしたが、パブタイムやモーニングタイムは予約なしで利用可能でした。

現在の「カシオペアクルーズ」「カシオペア紀行」

現在は、団体専用列車として「カシオペアクルーズ」と「カシオペア紀行」が運行されています。「カシオペアクルーズ」は、3泊4日の行程で本州や北海道の観光地を巡る周遊型ツアー。「カシオペア紀行」は、上野 - 札幌間を夜行で結ぶツアーで、往路または復路の片道のみ乗車するプランも用意されています。

北海道新幹線の開業後も、その人気は衰えることなく、美しい景色と豪華な設備で、多くの旅行者を魅了し続けています。

機関車は、EF81形電気機関車（JR東日本尾久車両センター所属）やEH800形電気機関車（JR貨物五稜郭機関区所属）、DF200形ディーゼル機関車（JR貨物五稜郭機関区所属）が区間によって牽引しています。

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