尾久車両センター

尾久車両センター：首都圏の鉄道輸送を支える車両基地

尾久車両センターは、東京都北区上中里に位置するJR東日本の車両基地です。かつては尾久客車操車場と呼ばれ、上野駅を発着する夜行列車の基地として重要な役割を果たしていました。現在では、E655系「なごみ（和）」やE001形「TRAIN SUITE 四季島」などの特別な車両のメンテナンスも担当しています。

歴史

尾久車両センターの歴史は古く、1916年に上野検車区として開設されたのが始まりです。その後、1926年に貝塚操車場として移転、1929年に尾久客車操車場と改称されました。当時は「東洋最大のヤード」とも呼ばれ、上野駅を発着する数多くの客車列車を支えていました。

2004年には現在の尾久車両センターに名称が変更され、現在に至ります。2022年には田端運転所と統合され、機関車の所属も尾久車両センターとなりました。

設備

尾久車両センターは、南北2,202m、東西249m、敷地面積約29万6000m²という広大な敷地を有しています。構内には、到着線、着発線、出発線、洗浄線、組替線、回転線、引上線などが配置され、多くの車両を収容・整備することができます。また、検修庫や転車台も設置されており、車両の検査や修理も行われています。

特徴的な推進運転

尾久車両センターの最大の特徴は、上野駅との間で実施される推進運転です。上野駅は頭端式ホームであり、機関車の付け替えが困難なため、客車列車を推進運転で入換える必要があります。この推進運転は、本線上で行われるものとしては全国でも珍しい存在です。

推進運転では、客車の一番前に推進運転士が乗り込み、無線で機関車の運転士と連絡を取りながら運転を行います。速度制限や安全確認など、細心の注意を払って行われています。

配置車両

尾久車両センターには、様々な種類の車両が配置されています。

電車:
E655系「なごみ（和）」：特別なイベント列車や団体臨時列車に使用されるハイグレード車両です。
E001形「TRAIN SUITE 四季島」：豪華寝台列車「TRAIN SUITE 四季島」に使用される車両です。
E493系：事業用交直流電車。
気動車:
キヤE195系：レール輸送に使用される車両です。
機関車:
EF65形：主に貨物列車の牽引に使用される機関車です。
EF81形：寝台特急「カシオペア紀行」や配給列車の牽引に使用される機関車です。
客車:
24系：かつて寝台特急「北斗星」や「出雲」で使用されていた客車で、現在は留置されています。
E26系：寝台特急「カシオペア」で使用されていた客車で、現在は「カシオペア紀行」として運行されています。
皇室用客車：特別な時に使用される客車で、現在は東京総合車両センターで保管されています。
貨車:
* ホキ800形：バラスト輸送に使用される貨車です。

一般公開

尾久車両センターでは、毎年秋に一般公開イベント「みんな集まれ！ふれあい鉄道フェスティバル」を開催しています。車両展示や体験コーナー、鉄道グッズの販売などが行われ、多くの鉄道ファンや家族連れで賑わいます。

まとめ

尾久車両センターは、首都圏の鉄道輸送を支える重要な車両基地です。その歴史や設備、特徴的な推進運転は、鉄道ファンにとって興味深いものです。一般公開イベントも開催されており、鉄道に興味のある方はぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

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