カタールの軍事

カタール軍

カタールは、ペルシャ湾西岸に位置する小国であり、1971年にイギリスの保護領から独立しました。産油国であるため、経済的には豊かです。

概要

カタールは部族間抗争の続いた土地であり、19世紀にはサーニー家がイギリスと結び、勢力を増しました。1870年代以降はオスマン帝国の支配下となりますが、第一次世界大戦でオスマン帝国が敗北すると、イギリスの保護領となりました。第二次世界大戦以降に石油の輸出により経済的に繁栄するようになり、1971年に独立を果たします。石油輸出で得た資金を基に、西側諸国から兵器を輸入し、近代的な軍隊を編成しています。

国土や軍隊の規模が小さいことから、米欧諸国や湾岸協力会議（GCC）に参加するサウジアラビア、他の湾岸小国との協力関係を安全保障の基本としています。1991年の湾岸戦争では多国籍軍に基地と兵力を提供しました。カタール軍もイラク軍を撃退したカフジの戦闘などに投入され、クウェート奪還に貢献しました。対テロ戦争でもアメリカ合衆国に協力したほか、2003年のイラク戦争の際はアメリカ中央軍の前線司令部がカタールに設置されました。

豊富な石油収入を背景に、中近東・イスラム圏全体への影響力行使を試みており、アラブの春では各国の反政府派を支援しました。米欧とともにリビア空爆にも参加しています。2016年には、トルコに軍事基地を提供する協定を結びました。2017年の建国記念軍事パレードでは、中国人民解放軍の訓練教官によって中国式の隊列とガチョウ足行進が導入され、中国製弾道ミサイルのBP-12Aを披露、上海協力機構への加盟を申請するなど、中華人民共和国への接近が顕著になっています。

カタール軍は、陸海空の三軍からなり、2023年時点の総兵力は16,500名（陸軍1,200名、海軍2,500名、空軍2,000名）です。また、準軍事部隊5,000名以上を有しています。国防費は2022年時点で推定84億2千万ドルです。同様の湾岸小国であったクウェートがイラクに侵略された事例を教訓に、防衛力の整備を進めています。参謀長は、ガーニム・ビン・シャーヒーン・アル＝ガーニム（2013年6月-）です。

陸軍

増強連隊規模であり、主力はドーハ近郊に所在しています。

装備

戦車
レオパルト2A7+ ×62両
装甲車両
AMX-10RC ×12両
ピラーニャII 90mm ×36両
フェネック ×32両
AMX-10P ×40両
AMX-VCI ×30両
V-150/Chaimite ×8両
VAB ×160両
Ejder Yalcin ×170両以上
Kirpi-2 ×50両
RG-31 ×不詳
ディンゴ2 ×14両
NMS ×2両
VBL ×16両
整備・工兵車両
WISENT2 装甲工兵車 ×6両
AMX-30D 装甲回収車 ×1両
ピラーニャ 装甲回収車 ×2両
対戦車兵器
VAB VCAC HOT ×24両
Ejder Yalcin（ステューフナ-P 対戦車ミサイル搭載型） ×不詳
NMS（ステューフナ-P 対戦車ミサイル搭載型） ×不詳
FGM-148 ジャベリン 対戦車ミサイル
コルネットｰEM 対戦車ミサイル
カール・グスタフ 無反動砲
火砲・ロケット砲
PzH2000 155ｍｍ自走榴弾砲 ×24両
G-5 155mm榴弾砲 ×12門
PH-63 107ｍｍ多連装ロケット砲 ×不詳
122ｍｍ多連装ロケット砲 ×2以上
ASTROS II Mk3 自走多連装ロケット砲 ×6両
L16 81mm迫撃砲 ×26門
VAB VPM 81 81mm自走迫撃砲 ×4両
120mm迫撃砲 ×15門
地対地ミサイル
BP-12A 短距離弾道ミサイル ×8以上
対空兵器
NMS（イグラ対空ミサイル搭載型） ×不詳
* ゲパルト 自走対空機関砲 ×15両

海軍

小規模なものであり、沿岸哨戒用の高速艇を主力としています。近年ではサウジアラビアやイランの海軍戦力増強に伴い、イタリアのフィンカンティエリにアル・ズバラ級コルベット4隻とドック型輸送揚陸艦「アル・フルク」を発注しています。

空軍

2個航空団編制であり、ヘリコプターも担当しています。かつてはミラージュ2000戦闘機を主力に、中高等練習機にアルファジェットを有するなどフランス製の機体が多かったものの、後継の戦闘機はタイフーン、ラファール、F-15QAの3機種を採用したほか、輸送機にはC-17、練習機にはM-346とホークMk167を採用しています.

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