カビリア

映画『カビリア』について

『カビリア』（原題: Cabiria）は、1914年にイタリアで製作された、ジョヴァンニ・パストローネ監督による叙事詩的なサイレント映画です。古代ローマとカルタゴを舞台に、壮大なスケールで歴史とフィクションが織りなす物語が展開されます。

物語の背景

物語の舞台は、第二次ポエニ戦争の時代。ローマとカルタゴが覇権を争う激動の時代を背景に、一人の少女の波乱に満ちた運命が描かれます。この映画は、歴史家ティトゥス・リウィウスの『ローマ建国史』をベースに、ギュスターヴ・フローベールの小説『サランボー』やエミリオ・サルガーリの小説『カルタゴは燃えている』などの要素も取り入れ、ガブリエーレ・ダンヌンツィオが脚色を担当しました。

あらすじ

エトナ山の噴火により両親と離ればなれになった少女カビリアは、フェニキア人の海賊に捕らえられ、乳母とともにカルタゴに連れてこられます。そこで、カルタゴの大僧正カルタロに奴隷として売られてしまいます。一方、ローマの軍人フルヴィウスは、カルタゴの偵察任務中に奴隷のマチステと出会い、カビリアの乳母からバットー家の指輪を見せられ、カビリアがモレク神への生け贄にされようとしていることを知ります。

フルヴィウスとマチステは、間一髪のところでカビリアを救出し、逃走しますが、フルヴィウスは海へ、マチステとカビリアはヌミディアの王子マシニッサと、カルタゴの将軍ハスドルバルの娘ソフォニスバの密会に紛れ込んでしまいます。マチステは捕らえられ、カビリアはソフォニスバの召使いとして匿われます。

その後、ローマ海軍はアルキメデスの発明した太陽光反射器によって壊滅的な被害を受けます。フルヴィウスは難破し、バットー家の家来に助けられます。そこでカビリアが生きていたことを知り、家族に伝えます。一方、マシニッサはヌミディアの政敵シュファクスに敗れ、ハスドルバルはソフォニスバをシュファクスと結婚させることを決め、ソフォニスバは絶望します。

10年後、カルタゴに戻ったフルヴィウスはマチステを救出し、ともに逃亡する途中、シュファクス軍に捕らえられます。彼らはキルタの牢に閉じ込められますが、脱獄し、籠城します。ローマ軍に支援されたマシニッサ軍がキルタを包囲し、シュファクスは捕らえられます。ソフォニスバはローマでの晒し刑を宣告されますが、マシニッサの懇願もむなしく、マチステの手で毒薬を届けられ、自ら命を絶ちます。物語の最後では、ローマに帰還する船上でフルヴィウスとカビリアが親しげに語り合う姿が描かれています。

映画の特徴

この映画は、当時としては画期的な映像技術を駆使し、スペクタクルな場面を数多く作り出しました。特に、大規模なセットやエキストラを使った戦闘シーンは圧巻で、観客を古代ローマの世界へと引き込みます。

映画が与えた影響

この映画は、その後の映画製作に大きな影響を与えました。特に、古代を舞台にした歴史大作や、壮大なスケールで物語を展開する叙事詩的な映画の先駆けとなりました。また、この映画で描かれたローマ式敬礼は、後にムッソリーニやナチ党が採用したことでも知られています。

関連情報

ローマ式敬礼（ナチス式敬礼）：この映画で古代ローマの敬礼として描かれたものが、後にムッソリーニやナチ党に採用された。

外部リンク

Cabiria - IMDb（英語）
Cabiria - オールムービー（英語）
Cabiria : Visione storica del terzo secolo A. C. - プロジェクト・グーテンベルク（イタリア語）
* カビリア - インターネット・アーカイブ

『カビリア』は、映画史における重要な作品であるとともに、古代ローマとカルタゴの歴史、そしてそこに生きる人々のドラマを壮大なスケールで描いた、見ごたえのある作品です。

もう一度検索