カピロターダ

カピロターダ：メキシコの伝統的なブレッドプディング

カピロターダは、メキシコとアメリカ合衆国ニューメキシコ州で作られる、ブレッドプディングに似た伝統的な菓子です。特に、キリスト教の四旬節の時期に食べられることで知られています。

概要

カピロターダは、パンを主な材料とし、ピロンシーヨ（黒砂糖）のシロップ、果物、ナッツ類、香辛料などを加えてオーブンで焼き上げます。パンは、メキシコではパン・ボリージョやパン・フランセスといった歯ごたえのあるものが正式とされますが、バゲットや、鶏卵を含む柔らかいパン、トルティーヤなども用いられます。果物は、レーズン、リンゴ、ナツメヤシ、アンズなどのドライフルーツが一般的で、アシトロン、プランテン、グアバ、トマトなどが使われることもあります。ナッツ類は、ラッカセイ、ペカンの実、アーモンド、クルミ、松の実などが使われます。香辛料としては、シナモン、クローブ、ナツメグ、イチジクの葉などが用いられ、特にシナモンはスティック状のものが使われます。

これらの材料に加えて、熟成されたチーズが加えられることもあります。チーズの代わりに牛乳を使うこともあります。チーズは、メキシコではペコリーノ・ロマーノに似たケソ・アニェーホ、ニューメキシコではアメリカンチーズ、ロングホーンチーズ、モンテレージャックチーズなどが使われます。ニューメキシコ州では、黒砂糖のシロップの代わりにカラメルソースを使うことも多いです。

カピロターダは、少しだけ作るのではなく、大皿に盛り付けて皆で取り分けて食べることが多いです。

宗教的意味

カピロターダは、主にキリスト教の四旬節の時期、特に聖週間（セマナ・サンタ）に作られます。聖金曜日（イエス・キリストの受難と死の記念日）に供される料理の一つです。

カピロターダの材料は、キリストの受難に関係する品々に喩えられています。パンはキリストの身体、シロップはキリストの血液、レーズンは十字架に打ちつけられた釘、シナモンスティックは十字架を作った木材、溶けたチーズはキリストの遺体を包んだ布（聖骸布）を象徴するとされています。

現在作られるカピロターダの材料や作り方は、以前とは変更された部分もありますが、キリスト教と深く結び付いていることから、メキシコではキリスト教関連施設が古いレシピを記録として残しています。

類似の菓子

メキシコには、欧米諸国の影響を受けた様々な味付けの菓子が存在しますが、伝統的な菓子の中には、カピロターダのように黒砂糖とシナモンを味付けに使用したものがしばしば見られます。例えば、ブレッドプディングはメキシコでも家庭で一般的に作られる菓子ですが、味付けに黒砂糖とシナモンが使われることがあります。

カピロターダは、メキシコの食文化と宗教観が融合した、独特な菓子と言えるでしょう。

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