カムイサウルス

カムイサウルスについて

カムイサウルス（学名：Kamuysaurus）は、日本の北海道むかわ町穂別地区において、後期白亜紀の海成層から発見されたハドロサウルス科の恐竜の一種です。この恐竜は「むかわ竜」として地域で広く知られています。

発見の経緯

カムイサウルスの化石は、化石愛好家の堀田良幸氏によって2003年4月に発見されました。彼は散歩中、アンモナイトが多く発掘される沢沿いで謎の化石を見つけ、最初は大きなワニの骨だと考えましたが、その特異性から穂別博物館の櫻井和彦館長に報告し、化石を博物館に寄贈しました。

最初の同定は誤って首長竜の尾椎骨とされましたが、約7年後、東京学芸大学の佐藤たまき准教授によって再評価され、恐竜の化石である可能性が浮上しました。その後、北海道大学の小林快次准教授による鑑定で恐竜のものであると確信されました。この化石が埋蔵されている地層が水深の深いものであり、全身骨格の発見が期待される状況が整ったのです。

発掘作業

北海道大学とむかわ町は6000万円の予算を設け、本格的な発掘プロジェクトを始動しました。2013年から行われた発掘では、1.2メートルの右大腿骨や頭骨の一部、100本の歯などが発見されましたが、崖の脆弱性や風化した地層によって難航しました。しかし、第二次発掘では条件が改善され、発掘の効率が向上しました。2014年にはほぼ全身の化石が採集されたとの報告があり、その後の補足発掘でもごく少数の恐竜化石しか得られなかったことから、主だった部分が掘り出されたことが示唆されました。

クリーニング作業

化石のクリーニング作業は、博物館の職員やボランティアの協力のもとに進められました。その結果、全身骨格がほぼ完全な状態で発見されることが明らかになり、日本国内でこのような化石が発掘されたのは非常に稀なケースです。2018年には全ての化石のクリーニングが完了し、全体の完成度は60%から80%と高く評価されました。

新属新種の認定

博物館と大学の共同研究の結果、カムイサウルスが新属新種であることが認定されました。その特徴や研究成果は、2019年に「Scientific Reports」に発表されました。この際、カムイサウルスは「神の小さなトカゲ」という意味を込めた学名「カムイサウルス・ジャポニクス」と命名されました。

特徴と展示

カムイサウルスは全長8メートルほどで、細身の体格が特徴です。頭部の構造が他のハドロサウルス科とは異なる点も見られ、特有の骨構造が確認されています。2019年に行われた恐竜博においては、見どころの一つとして展示され、多くの注目を集めました。

このように、カムイサウルスは発見から認定まで、多くの人々の努力と研究によって新たな歴史を刻みました。今後の研究や展示によって、その魅力がさらに広がることが期待されています。

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