カモイワッカ岬

カモイワッカ岬

カモイワッカ岬は、択捉島の最北端に位置する岬です。別名カムイワッカ岬とも呼ばれます。北緯45度33分28秒、東経148度45分14秒に位置し、千島列島の一部であり、北方領土に属しています。日本政府は、この地域を自国固有の領土と主張していますが、現在、ロシア連邦による実効支配が続いています。

地理と概要

カモイワッカ岬は、択捉島の最北端に位置し、日本が領有権を主張する領土の最北端にあたります。行政区分上は北海道蘂取郡蘂取村に属しますが、現在はロシア連邦が実効支配しており、日本の実効支配地域における最北端は宗谷岬沖の弁天島となっています。周辺は国立公園に指定されており、一般のロシア人でさえも立ち入りが制限されています。

名称の由来

「カモイワッカ」という名称は、アイヌ語に由来しており、一般的には「神の水」という意味で解釈されます。しかし、北方領土においては、「飲用には適さない水」を指す場合も多いとされています。ロシア語では、コリツキー岬（мыс Корицкий）と呼ばれています。

歴史

カモイワッカ岬は、歴史的に日本の領有権を示す重要な場所でした。1800年（寛政12年）に択捉島を調査した近藤重蔵は、この岬近くの丘にロシア人が立てた十字架を倒し、代わりに「大日本恵登呂府」と書かれた木製の標柱を立て、日本の領土であることを示しました。近藤は1798年（寛政10年）にも択捉島南端のタンネモイ付近に同様の標柱を立てています。

1859年（安政6年）以降、この岬を含む地域は仙台藩の領地となりました。当時、警備を担当していた仙台藩士が、「大日本恵登呂府」と書かれた標柱が経年劣化で傷んでいたため、代わりに「大日本地名アトイヤ」と書かれた標柱を立てました。アトイヤはカモイワッカ岬の東方に位置する地名で、「渡海地」を意味します。1875年（明治8年）に樺太千島交換条約が締結され、千島列島が日本の領土となると、翌1876年（明治9年）、千島の巡察に訪れた時任為基は、帰路に「大日本地名アトイヤ」の標柱を持ち帰りました。この標柱は現在、函館市北洋資料館に展示されています。

2009年度（平成21年度）以降、陸域観測技術衛星「だいち」の画像を用いて北方四島の地形図が作成されました。その解析の結果、カモイワッカ岬の位置が従来の地形図に比べて約100～150m南西にずれていることが判明しました。この解析結果を反映した2万5千分の1地形図は、2014年（平成26年）7月に刊行されました。

その他

カモイワッカ岬は、その地理的な位置や歴史的な背景から、日本の領土問題において重要な場所の一つです。この岬を含む北方領土は、第二次世界大戦末期にソビエト連邦に占領され、現在までロシア連邦による実効支配が続いています。しかし、日本政府は、この地域が自国固有の領土であるという立場を堅持しており、領土返還を求めています。

地理院地図 (外部リンク)

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