時任為基

時任為基（ときとう ためもと）

時任為基は、天保13年（1842年）に生まれ、明治38年（1905年）に没した日本の官僚、政治家です。通称は静吉。

生い立ちと初期の経歴

時任為基は、薩摩藩士である時任為徳の長男として、薩摩国鹿児島郡鹿児島城下新屋敷通町で誕生しました。明治維新後、明治4年（1871年）8月に新政府に出仕し、東京府の典事に任命されました。その後、明治5年（1872年）7月には開拓使八等出仕となり、北海道の開拓に携わることになります。

開拓使としての活躍

1875年9月、千島樺太交換条約の締結に際し、理事官としてサンクトペテルブルクへ派遣されました。この経験は、彼の後の官僚としてのキャリアに大きな影響を与えたと考えられます。帰国後、札幌本庁民事局長、開拓大書記官、函館県令などを歴任し、北海道の行政に深く関わりました。また、北海共同競馬会社会長、函館支庁長も務めるなど、多岐にわたる分野で活躍しました。

府県知事、元老院議官、貴族院議員として

1887年1月、宮崎県知事に就任し、地方行政の長としてのキャリアをスタートさせました。同年5月には元老院議官に転じ、中央政界にも進出しました。その後、1888年2月には高知県知事に任命され、さらに静岡県、愛知県、大阪府、宮城県の各知事を歴任しました。これらの経験を通じて、地方行政の課題や実情を深く理解し、その後の活動に活かしたと考えられます。
1898年8月には貴族院勅選議員に任じられ、その生涯を閉じるまでその職を務めました。1899年8月14日には錦鶏間祗候に任じられ、その功績が認められました。

栄典

時任為基は、その功績により以下の位階と勲章を授与されています。

位階

1886年（明治19年）11月16日 - 正五位
1898年（明治31年）9月20日 - 従三位
1905年（明治38年）9月1日 - 正三位

勲章等

1887年（明治20年）11月25日 - 勲三等旭日中綬章
1889年（明治22年）11月25日 - 大日本帝国憲法発布記念章

親族

子孫には俳優の時任三郎がいます。時任為基の血筋は、現代にも受け継がれています。

まとめ

時任為基は、幕末から明治にかけて、内務官僚、政治家として多岐にわたる分野で活躍しました。北海道の開拓、地方行政の発展、中央政界での活動を通して、日本の近代化に貢献した人物と言えるでしょう。

参考文献

上田正昭他『日本人名大辞典』講談社、2001年。
歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』1990年。
* 我部政男・広瀬順晧編『国立公文書館所蔵 勅奏任官履歴原書 上巻』柏書房、1995年。

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