カラカミ遺跡

カラカミ遺跡の概要

カラカミ遺跡（カラカミいせき）は、長崎県壱岐市勝本町立石東触に位置する、弥生時代の環濠集落の遺跡です。この遺跡は、壱岐市にとって重要な史跡として指定されており、地域の歴史や文化を知るうえで非常に貴重な場所となっています。

歴史的背景

この遺跡は、魏志倭人伝に記される「一支国」の都と考えられており、原の辻遺跡から約6キロメートルの距離に存在しています。カラカミ遺跡は、当時の構成集落の一部であり、弥生時代の人々の生活や文化を知る手がかりとなっています。

主な遺構

環濠

カラカミ遺跡の特徴的な構造として、幅3.5メートル、深さ60センチメートルの環濠があります。この環濠は集落を囲む形で造られており、敵からの侵入を防ぐ防御機能を果たしていたと考えられています。さらに、環濠内には墓地や住居址、貝塚、地上炉など、生活の様子を表すさまざまな遺構が見つかっています。

地上炉

特に注目すべきは、2013年に確認された弥生時代後期の鉄の地上炉の跡です。この発見は、当時の人々が鉄を扱っていたことを示しており、鉄器の生産や使用に関連する重要な証拠となっています。

出土遺物

カラカミ遺跡からは多くの遺物が発掘されています。主に石器が多く見つかる一方で、鉄製の武器や工具も数多く出土しています。具体的には、鉄の銛（もり）、釣り針、鎌、鉄鏃（てつぞく）、槍鉋（やりかんな）などがあり、当時の人々の生活の一端をうかがい知ることができます。

更に、興味深いことに、多数の動物遺体も出土しており、犬や猫、馬などの家畜だけでなく、ネズミや鳥類、さらには漁業に利用される魚骨、クジラ、イルカ、アシカ、シャチの骨などが確認されています。これらは当時の食生活や環境、産業活動に関する貴重なデータを提供しています。

また、貝類としては、カキやアワビ、サザエ、オキシジミが見つかり、さらにはウニの殻も確認されています。これらからは、当時の人々がどのように自然の恵みを利用していたのかを知る手がかりとなります。

さらに、一部の出土土器からは「周」の刻字を確認することができ、これは弥生時代後期のものとされ、漢字が記された土器として日本で最古の例の一つとも言われています。このような遺物の多様性は、カラカミ遺跡が持つ重要性を一層際立たせています。

結論

カラカミ遺跡は、弥生時代の生活の様子を捉えた貴重な遺跡であり、多くの遺構や遺物が発見されています。これらの遺物と遺構は、地域の歴史を理解するための重要な情報を提供しており、今後の研究にも大きな期待が寄せられています。

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