カリフォルニア級原子力ミサイル巡洋艦

カリフォルニア級原子力ミサイル巡洋艦

カリフォルニア級原子力ミサイル巡洋艦（California-class nuclear guided missile cruiser）は、アメリカ海軍の原子力駆動の防空艦であり、1967年と1968年度にそれぞれ1隻ずつ建造されました。この艦級は、ターター-Dシステムを搭載し、特に防空任務に特化した設計がなされています。1975年には艦の類別が変更され、原子力ミサイル巡洋艦（CGN）として再分類されました。ネームシップの建造費は約2億ドルでした。

背景と来歴

第二次世界大戦終了後、アメリカ海軍は新たな艦隊防空能力を求めて艦対空ミサイル（SAM）の開発に取り組み始めました。戦後も航空機の性能向上に伴い、1956年のテリア、1959年のタロス、1962年のターターの艦載配備が進みました。しかし、これらのシステムでは新たな経空脅威に適切に対応できないという懸念が高まりました。そこで、1958年からは次世代防空システム「タイフォン」の開発が始まりましたが、技術的な挑戦から1963年にはキャンセルされ、ズレが生じました。

このため、1966年度計画から新型DDGの建造が再検討されましたが、最終的にはガスタービン駆動艦の建造予算が認可されず、代わりに原子力ミサイル・フリゲート（DLGN）の建造が進むこととなりました。これがカリフォルニア級の設計の背景となり、初めから原子力艦として計画され、多くの革新技術を取り入れることができました。

設計概要

カリフォルニア級は、先行する原子力ミサイル・フリゲートとは異なり、初めから核動力艦として設計されたため、様々な新しいアイデアが組み込まれています。まず、船型は高い乾舷の遮浪甲板型で設計され、艦容は非常に重厚感があります。また、艦内の重要区画には防護のためのケブラー製の装甲が施されています。

機関は、ゼネラル・エレクトリック製のD2G原子炉を2基搭載し、熱出力は約100〜120 MWtで、従来の原子炉に比べて寿命はおよそ3倍延長されています。これにより、通常の運用状態では700,000海里の航続が可能です。

装備とシステム

最新のターター-Dシステムを搭載し、原子力空母機動部隊の防空中枢艦として活躍が期待されました。このシステムはデジタル化が進められ、海軍戦術情報システム（NTDS）との連結も目指していましたが、開発には苦労が伴い、遅延が発生しました。1974年には艦が海軍に引き渡され、さらなる統合化試験を経て実用化に至ります。

その防空能力には、Mk.13 mod.3単装ミサイル発射機や、Mk.74 mod.2誘導システムが含まれており、艦対空ミサイルには当初SM-1MR、NTU改修後はSM-2MRが選定されています。さらに、艦砲としては信頼性の高い54口径127mm単装砲（Mk.45）が搭載されており、火力指揮にはMk.86 GFCSが用いられます。

同型艦と影響

カリフォルニア級には2隻が存在し、共にニューポート・ニューズ造船所で建造されました。これらの艦は、アメリカ海軍の防空能力の進化に寄与し、その後のイージスシステム開発にも多くの教訓を提供しました。

メディアでの登場

この艦級は様々なメディアにも登場しており、例として『沈黙の艦隊』では「サウスカロライナ」が描かれ、また『ファイナル・カウントダウン』では「カリフォルニア」がニミッツ級航空母艦を護衛する姿が描かれています。これにより、艦級の知名度が高まっています。

カリフォルニア級原子力ミサイル巡洋艦は、その設計や運用において革新的なアプローチを持ち、アメリカ海軍にとって重要な役割を果たしたことが伺えます。

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