カルガリーハリケーンズ

カルガリー・ハリケーンズは、1985年から約2年間、日本のプロレス界に存在したプロレスユニットです。

結成とその歩み

ユニットの中心となったのは、当時新日本プロレスに所属していた実力者、スーパー・ストロング・マシンと、若手ながら頭角を現していたヒロ斎藤、そして高野俊二（後に高野拳磁と改名）の3選手でした。彼らは揃って新日本プロレスからの離脱を選択し、新たな活路を求めます。当初はジャパンプロレスが主催する自主興行にも参加しましたが、活動の主な舞台は全日本プロレスへと移っていきました。

全日本プロレスのリングに上がるにあたっては、スムーズな参戦とはいきませんでした。その背景には、全日本プロレスのジャイアント馬場代表が、彼らの新日本離脱を主導したとされるジャパンプロレスの大塚直樹氏から事前に十分な説明を受けていなかったこと、そしてメンバーが新日本プロレスおよびテレビ朝日との契約期間を残していたことが挙げられます。馬場氏は彼らの起用に対し、慎重な姿勢を取ったのです。

リング外の活動とテレビ中継

全日本プロレスへの本格参戦が実現するまでの間、カルガリー・ハリケーンズは異例とも言える活動を展開します。彼らは、当時人気アイドルだった早乙女愛も所属していた芸能事務所とマネジメント契約を締結。情報バラエティ番組『タモリ倶楽部』や深夜番組『冗談画報』といったテレビ番組への出演を積極的に行い、プロレスファン以外にもその存在をアピールしました。しかし、全日本プロレスおよび同局のテレビ中継を担う日本テレビとの契約がまとまると、この芸能事務所との提携は解消されました。

この契約の影響は、全日本プロレスのテレビ中継にも及びます。公式中継番組では、カルガリー・ハリケーンズの試合は1986年3月まで一度も放送されませんでした。彼らの試合が初めて中継されたのは、ユニットが「'86チャンピオン・カーニバル」シリーズに正式にエントリーした、同年4月1日に行われた新潟県上越市での大会からでした。奇しくも、この時期には国際血盟軍に属していた剛竜馬、高杉正彦、アポロ菅原の3選手が1986年3月2日付で全日本プロレスを解雇されており、両者の関連性を指摘する声もあります。

ユニット名の由来と構想

「カルガリー・ハリケーンズ」というユニット名は、メンバーの3人がかつて海外武者修行を行った思い出の地、カナダのカルガリーに由来します。カルガリーは、プロレス界のレジェンドであるスチュ・ハートが率いたスタンピード・レスリングの本拠地として知られています。この地名に、「カルガリーからやってきた三人が、プロレス界に嵐を巻き起こす」という意味合いが込められて命名されました。

当初、このユニットはより大きな構想を持っていました。先の3人に加え、将軍KYワカマツとザ・コブラを加えた合計5名で結成される予定だったのです。しかし、将軍KYワカマツは新日本プロレスとの契約が残っていたため、新日本離脱を回避して参加しませんでした。一方、ザ・コブラが構想から外れた具体的な理由は不明とされています。

活動の終焉とその後

カルガリー・ハリケーンズは、特定の団体に縛られず、様々なリングで活動する現代のプロレスチームやユニットの先駆けとも見なされる存在でした。しかし、ユニット自体に独自の興行を開催する力はなく、活動は主に全日本プロレスのシリーズ参戦に限定されました。また、結成時のメンバーが若手であったことから、全日本プロレス内での発言力も決して強いものではありませんでした。

約2年間の活動期間を経て、カルガリー・ハリケーンズは解散します。ユニット解散後、スーパー・ストロング・マシンとヒロ斎藤は、当時新日本プロレスで一大勢力を築いていた長州力率いるリキプロ軍団に合流し、古巣の新日本プロレスへ復帰を果たしました。一方、高野俊二は全日本プロレスに留まり、正式な所属選手としてのキャリアを歩むことになります。

主なメンバー

スーパー・ストロング・マシン
ヒロ斎藤
高野俊二（現：高野拳磁）

テーマ曲

ハリケーンズ・バム（作曲：福来良夫）

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