カルニオラ公国

カルニオラ公国（クライン公国）

カルニオラ公国、またはクライン公国は、かつて神聖ローマ帝国、オーストリア帝国、そしてオーストリア＝ハンガリー帝国の一部であった歴史的な領域です。その歴史は複雑で、幾度もの変遷を経てきました。この地域は現在のスロベニアの一部を形成しており、その文化的アイデンティティに深く影響を与えています。

地理

カルニオラ公国の境界は時代によって変動しましたが、一般的には神聖ローマ帝国の南東端に位置していました。北はケルンテン[[公国]]、北東はシュタイアーマルク公国と接していました。西はヴェネツィア共和国の支配地域、南はゲルツ伯領と国境を接していました。1849年に再編された後の公国の面積は約9,904平方キロメートルで、1912年には約53万人の人口を擁していました。

行政区画

カルニオラ公国は伝統的に、以下の3つの地方に区分されていました。

上カルニオラ（ゴレンスカ地方）: 山岳地帯で、クラーニやカムニークなどの都市がありました。
下カルニオラ（ドレンスカ地方）: 南東部に位置し、ノヴォ・メストやコチェーヴィエなどが含まれていました。白カルニオラ地方も含まれています。
内カルニオラ（ノトランスカ地方）: 南西部に位置し、イドリヤやポストイナなどの町がありました。

行政区分としては、当初はリュブリャナ、ノヴォ・メスト、ポストイナの3つの地区がありましたが、後に11の政治地区に細分化されました。これらの政治地区はさらに31の司法管轄区に分割されました。

歴史と統治

1040年、カルニオラ辺境伯領がケルンテン[[公国]]から分離されました。その後、1364年にハプスブルク家のルドルフ4世が「カルニオラ公」を称し、カルニオラ公国が成立しました。公国はハプスブルク家の世襲領として、その支配下で変遷を重ねました。16世紀には内オーストリアの一部として分離、その後ハプスブルク帝国の構成国となりました。

15世紀後半には、イドリヤなどフリウリの一部であった地域や、イストリア半島内陸部の一部を併合し、一時的にリエカ港も支配下に置きました。しかし、1809年にはナポレオンによってイリュリア州に組み込まれ、一時的に消滅しました。1815年のウィーン会議後、オーストリア帝国に復帰しましたが、カルニオラ公国は再興されず、イリュリア王国の一部となりました。1849年にイリュリア王国が解体されると、カルニオラ公国が再興されました。

1861年には憲法が制定され、カルニオラ議会が権力を持ちました。議会は37名の議員で構成され、地方の問題に関する立法を行いました。行政は帝国および王国州知事とリュブリャナの帝国および王国政府によって行われました。

1918年、オーストリア＝ハンガリー帝国の崩壊に伴い、カルニオラ公国は消滅し、その領域はスロベニア人・クロアチア人・セルビア人国の一部となりました。その後、この地域はユーゴスラビア王国の一部となりました。公国の西部は1920年にイタリア王国に併合されましたが、第二次世界大戦後にユーゴスラビアに併合されました。

人口統計

住民の大多数はスロベニア人でしたが、ドイツ語を話す住民も一部に存在しました。1846年の調査では、スロベニア人が約428,000人、ドイツ人が約38,000人でした。1910年には、スロベニア人が約520,000人、ドイツ人が約28,000人と報告されています。

国旗・国章

カルニオラの国章は、白地に冠を戴く青い鷲で、中央に赤と黄（金）がチェックになった三日月を置いたものです。この紋章は、13世紀の伯爵の紋章を起源とし、その後ハプスブルク家の支配下で変更が加えられました。白、青、赤の配色は、1848年にカルニオラ公国の公式な旗の色として定められ、後のスロベニアの三色旗の基礎となりました。この国章は1918年の公国消滅とともに放棄されましたが、スロベニアの歴史やシンボルに重要な影響を与えています。

歴代公爵

カルニオラ公国はハプスブルク家によって代々統治され、オーストリア公や神聖ローマ皇帝を兼ねるものが多く存在しました。ルドルフ4世から始まり、マリア・テレジア、ヨーゼフ2世、フランツ2世（オーストリア皇帝フランツ1世）、フェルディナント1世、フランツ・ヨーゼフ1世、そして最後のオーストリア皇帝カール1世まで、多くの君主がこの地を統治しました。

脚注

[1] 大日本文明協会『墺地利匈牙利』
[2] 柴宜弘、アンドレイ・ベケシュ、山崎信一編著『スロヴェニアを知るための60章』
[3] Perko, Drago; Orožen Adamič, Milan, eds (1998)
[4] Pipp, Lojze (1935)
[5] 佐藤堅司『ナポレオンの政戦両略研究』
[6] A.J.P.テイラー 著、倉田稔 訳『ハプスブルク帝国 1809-1918』

関連項目

カルニオラ
スロベニアの国旗
スロベニアの歴史
オーストリア君主一覧

外部リンク

地図– 1849年のカルニオラ公国
* スロベニアの国家記章

この解説は、カルニオラ公国の歴史と文化について理解を深めるためのものです。詳細については、参考文献や外部リンクをご参照ください。

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