カルノサウルス類

カルノサウルス類：巨大肉食恐竜の謎

概要

カルノサウルス類（Carnosauria）は、中生代ジュラ紀から白亜紀にかけて繁栄した恐竜の一群です。「カルノ」（carno）はラテン語で「肉」、「サウルス」（saurus）はギリシャ語で「トカゲ」を意味し、その名のとおり、大型の肉食恐竜として知られています。

かつては様々な大型獣脚類が含まれていましたが、現在の分類では、アロサウルスとその近縁種のみを含む、より絞り込まれたグループとなっています。近年では、カルカロドントサウルス科に属するギガノトサウルスやティラノティタンなど、非常に巨大なカルノサウルス類の化石が発見されており、これらは史上最大の肉食恐竜の候補に挙げられています。

カルノサウルス類の特徴として、大きな眼窩、長く狭い頭骨、そして大腿骨が脛骨よりも長いといった脚部の特徴が挙げられます。また、いくつかの種では集団で狩りをしていた可能性が示唆されています。これら大型捕食者の生態は、当時の生態系を理解する上で重要な手がかりとなります。


系統と分類

最新の系統解析では、カルノサウルス類は、鳥類よりもアロサウルスに近縁な恐竜であるとされています。しかし、分類の歴史は複雑です。かつては、単に「大型の肉食恐竜」という曖昧な定義で多くの種が含まれていましたが、1980年代以降の研究により、サイズ以外の共通点は少ないことが判明しました。

その結果、従来のカルノサウルス類の多くは、より原始的な獣脚類や、鳥類に近いコエルロサウルス類へと再分類されました。メガロサウルス科、スピノサウルス科、ケラトサウルスなどがかつてカルノサウルス類に分類されていたグループです。中には、ラウイスクス類のテラトサウルスのように、恐竜ではないと判断されたものもあります。この分類の見直しは、恐竜進化の理解を大きく前進させました。


主な属

カルノサウルス類には、以下の属が含まれます。ただし、分類は研究の進展とともに変化しうる点にご注意ください。

アロサウルス類 (Allosauroidea): アロサウルスなどが含まれ、カルノサウルス類の中核を成すグループです。
カルカロドントサウルス類 (Carcharodontosauridae): ギガノトサウルスやティラノティタンなど、巨大な種を含むグループです。
* その他: エレクトプス、フクイラプトル、ガソサウルス、メガラプトル、モノロフォサウルス、シャモティラヌス、ベックレスピナクス、シンラプトルなど、様々な属が知られています。これらの属の分類学的配置には、未だ議論のあるものも含まれています。


「カルノサウルス」という名前

「カルノサウルス (Carnosaurus)」という名前は、しばしば恐竜のリストで見られますが、これは厳密には正式な属名ではありません。1929年にフリードリヒ・フォン・ヒューネが、分類不能な化石を一時的に分類するために用いた、非公式な名称だと考えられています。その後、誤解から正式な属名として扱われることもありましたが、現在は学術的には使用されません。この混乱は、恐竜の分類における研究の歴史と、その複雑さを示す一例と言えるでしょう。


結論

カルノサウルス類は、巨大な体躯と高い捕食能力を誇った恐竜のグループでした。しかし、その分類は研究の進展に伴い大きく変化しており、現在ではアロサウルスとその近縁種を中心に構成されています。今後の研究により、さらに詳細な進化史が明らかになることが期待されます。

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