モノロフォサウルス

モノロフォサウルス：中国のジュラ紀を支配した獣脚類

モノロフォサウルス(Monolophosaurus)は、ジュラ紀中期（約1億6600万年前～1億6100万年前）に生息した中型獣脚類恐竜です。その名前は、頭部にある特徴的な単一の鶏冠に由来します。本記事では、モノロフォサウルスの発見から、その形態、分類、生態までを詳細に解説します。

発見と命名

1981年、中国新疆ウイグル自治区で、董枝明氏によってほぼ完全なモノロフォサウルスの骨格化石が発見されました。この化石は、石油産業の層序学調査中に偶然発見されたものです。その後、1984年まで発掘が続けられ、1987年にはJiangjunmiaosaurusという暫定的な属名が与えられました。しかし、この名称は現在では疑問名として扱われています。

1993年、趙喜進氏とフィリップ・J・カリー氏によって、タイプ種Monolophosaurus jiangiとして正式に記載・命名されました。種小名jiangjunmiaoiは、化石発見地の近くにあった廃墟となった旅館「将軍廟」にちなんでいます。

ホロタイプ標本(IVPP 84019)は、ジュンガル盆地の中部ジュラ系地層から発見されました。この骨格は頭骨、下顎、椎骨、骨盤などを含みますが、尾の後部、肩帯、四肢は欠損しています。

形態

モノロフォサウルスの全長は、推定5～7.5メートル、体重は475～710キログラムと推定されています。最も際立つ特徴は、鼻先に位置する大きな鶏冠です。この鶏冠は前上顎骨、鼻骨、涙骨などで形成されており、その形状は三角形に近く、表面は滑らかではありません。

頭骨は比較的平坦ですが、鶏冠は頭骨の約3/4の長さを占め、眼窩にまで達しています。鼻孔の上部後方など、頭骨の複数の部位には含気性の開口部が確認されています。これは、頭骨内部に空洞が存在し、呼吸器官と繋がっていたことを示唆しています。

歯は前上顎骨に4本、上顎骨に13本、歯骨に17～18本ありました。歯の数は個体差がある可能性があります。下顎には、歯列に沿って並ぶ一連の孔が確認されています。これらは、血管や神経の通り道だった可能性があります。

椎骨は頸椎9個、背椎14個、仙椎5個で構成されています。頸椎や背椎には含気性の空洞が多く存在し、軽量化に貢献していたと考えられます。

骨盤は、腸骨、恥骨、坐骨で構成されています。腸骨の前方刃状構造にはフック状の突起があり、恥骨と坐骨は足のような構造をしています。

分類

モノロフォサウルスの分類は、長らく議論されてきました。当初はメガロサウルス類に分類されていましたが、その後アロサウルス上科に分類されることもありました。最近の系統解析では、テタヌラ類の基盤的な位置を占めることが示唆されています。

古生態学

ホロタイプ標本には、骨折や噛み痕のような損傷が見られます。これは、モノロフォサウルスが、同種個体や他の捕食動物との争いの中で怪我をしていた可能性を示唆しています。

モノロフォサウルスは、当時の生態系の頂点捕食者の一種であったと推測されています。その獲物としては、初期の竜脚類や、より小型の獣脚類などが考えられます。

まとめ

モノロフォサウルスは、その独特の頭部形態と、ジュラ紀中期の生態系における位置から、古生物学研究において重要な恐竜です。今後の研究によって、さらに詳細な生態や進化史が明らかになることが期待されます。

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