カルバラーの戦い

カルバラーの戦いの詳細

カルバラーの戦いは、ヒジュラ暦61年ムハッラム月10日（西暦680年10月10日）に現在のイラク・カルバラーで発生した重要な戦闘です。この戦いでは、ウマイヤ朝第2代カリフであるヤズィード1世の派遣した軍と、伊マーム・アリーの次男であるフサインの軍勢との間で激しい戦闘が繰り広げられました。

背景

この戦闘の根底には、イスラム教の中での政治と権力の闘争があります。656年、第三代カリフのウスマーンが暗殺された後、彼の従弟であり、ムハンマドの娘ファーティマと結婚したアリーが第四代カリフに就任します。しかし、アリーの立場に不満を持つウマイヤ家のムアーウィアとその支持者たちとの間で権力闘争が始まります。

657年にはスッフィーンの戦いが起こり、和平協定が結ばれますが、その後もアリー派内部での分断が続きます。661年にはアリーが暗殺され、彼の長男ハサンと次男フサインがそれぞれの立場をとることになります。特にフサインは、ヤズィードを皇太子として受け入れることを拒否し、メッカへと避難します。

フサインの一族は、クーファの人々からの支持を得るため書簡を受け取り、ヤズィードに対抗することになります。しかし、状況は急速に変化し、クーファの人々はヤズィードの厳しい支配の下で混乱をきたすと、フサインは孤立を強いられることとなります。

戦闘の展開

カルバラーの戦いは、10月10日のアーシューラーの朝、フサインが同盟国に戦準備を命じるところから始まります。彼は自らの正当性を信じ、クーファの人々に彼を殺すことが正当かどうかを考え直すよう促します。戦闘においてフサインと彼の少数派の支持者は、ヤズィードの軍勢との壮絶な戦いに突入します。

戦いは激化し、フサインの支持者たちが次々と戦死し、彼と兄弟のアッバスだけが残ることになります。アッバスは、子供たちのために水を汲みに行く途中で狙撃され、重傷を負いますが、フサインは勇敢にも最後まで戦います。最終的に、フサインは致命傷を受け、戦士による攻撃を受けて命を落とします。

戦後の影響

フサインが戦死した後、彼の遺体は侮辱され、彼の家族は捕らえられます。この戦いは、ウマイヤ朝に対するシーア派の激しい抗議を引き起こし、後にアッバース革命へとつながります。また、シーア派の教義においてカルバラーの事件は殉教の象徴となり、毎年の追悼行事を通じてその教訓は受け継がれています。特に、毎年11月20日にはアルバインとして知られる祭りが行われ、数百万的人々がフサインを悼むために行進します。

カルバラーの戦いは、単なる戦闘を超え、イスラム教徒にとって歴史的かつ宗教的意義を持つ出来事となりました。フサインの犠牲は、苦しみ・殉教・信仰の象徴となり、多くの信者たちに力を与え続けています。

もう一度検索