カルロス3世 (ナバラ王)

カルロス3世は、1361年7月22日に生まれ、1425年9月8日に亡くなったナバラ王国の国王（在位：1387年 - 1425年）です。彼はエヴルー伯（在位：1387年 - 1404年）としてはシャルル3世、後にヌムール公（在位：1404年 - 1425年）としても知られ、「高貴王」（el Noble）という異名を持ちます。

カルロス3世は、カルロス2世（邪悪王）とその王妃ジャンヌ（フランス王ジャン2世の娘）の子として生まれました。彼は、モルタン伯ピエール、ブルターニュ公ジャン4世妃、イングランド王ヘンリー4世妃ジャンヌの兄にあたります。

1387年、父カルロス2世の死により王位と伯位を継承しました。彼は父の治世で失墜した国威の回復と、領内の基盤整備に力を注ぎました。外交面では、対立していたフランスやカスティーリャとの関係改善に尽力しました。

カスティーリャとは、王女エレオノールとの結婚を通じて関係を強化しました。フランスとは、1404年にノルマンディー地方のエヴルー・アヴランシュとヌムール公領を交換し、シェルブール・シャンパーニュの権利を年金と引き換えにすることで関係を改善しました。これらの外交努力は、ナバラ王国の安定に大きく貢献しました。

フランスの内乱（ブルゴーニュ派とアルマニャック派の対立）では、ブルゴーニュ派と同盟を結びましたが、内乱自体には直接関与しませんでした。1409年には、ブルゴーニュ公ジャン1世とオルレアン公シャルの和解式に出席するなど、積極的に外交活動を行いました。

芸術を愛好したカルロス3世は、フランスから画家や建築家を招き、首都パンプローナや郊外のオリテにゴシック様式の建造物を建設しました。パンプローナ大聖堂の改築、オリテ王宮の大改修は彼の代表的な事業です。オリテ王宮は、1420年に複数の塔と庭園を備えた王家の憩いの場として完成しました。また、パンプローナの自治体紛争に介入し、1423年に3つの自治体を統合し、一つの行政機関にまとめました。

さらに、ナバラの複雑な法律を改正し、1418年に公布しました。また、支持基盤である貴族に特権を与えるなど、貴族寄りの政策を実施しました。

晩年には、後継者選びに苦労しました。息子たちが夭逝したため、長女ブランカ（後のブランカ1世）を後継者に定め、アラゴン王子フアン（後のフアン2世）と結婚させました。1419年の結婚後、孫カルロスにビアナ公の地位を与え、夫婦を王位継承者に指名しました。ただし、フアンには、家臣はナバラ人とする、ナバラの土地を勝手に配分しないという条件を付けました。

1425年、64歳で死去。ブランカ1世とフアン夫妻が王位を継承しましたが、1441年にブランカ1世が亡くなると、遺言でビアナ公カルロスが王位を継ぐべきだとされました。しかし、フアンはこれに反対し、自らが単独でナバラを統治しようとしたため、カルロスとの間に深刻な対立が生じ、ナバラ内戦が勃発しました。

カルロス3世は、1375年にカスティーリャ王エンリケ2世の娘エレオノールと結婚し、6人の娘と2人の息子をもうけましたが、息子たちは夭折しました。娘たちは、ブランシュ（後のブランカ1世）、ジャンヌ（フォア伯ジャン1世と結婚）、マリー、マルグリット、ベアトリス（ラ・マルシュ伯ジャック2世と結婚）、イザベル（アルマニャック伯ジャン4世と結婚）がおり、それぞれがヨーロッパの王侯貴族と婚姻関係を結びました。

カルロス3世の治世は、ナバラ王国の安定と文化発展に大きく貢献しました。彼の外交手腕と内政改革は、ナバラ王国に繁栄をもたらしました。

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