カワイモデル

株式会社カワイモデル：日本の鉄道模型史に名を刻んだ老舗メーカー

東京都千代田区に本社を置く株式会社カワイモデルは、長きに渡り日本の鉄道模型業界を牽引してきた老舗メーカーとして知られていました。2024年3月末をもって廃業したものの、その歴史と製品群は、日本の鉄道模型文化に多大な影響を与えたとして、現在も高く評価されています。

川合兄弟による創業と発展

カワイモデルは、川合兼之氏と延之氏兄弟によって川合模型製作所として創業されました。当初は展示模型の製作が中心でしたが、1928年（昭和3年）より鉄道模型の製作を開始。1934年には弟の延之氏が神田須田町に出店し、本格的な鉄道模型販売に乗り出しました。

当時、鉄道模型はティンプレート製が主流でしたが、カワイモデルは早くから精密なスケールモデルの製作に注力。特に35mmゲージから始まり、後に普及した16番ゲージにおいても高い精度と完成度を誇る製品を供給し続けました。 教育教材としての側面が強かった当時の鉄道模型業界において、カワイモデルは趣味としての鉄道模型の楽しみ方をいち早く提案した先駆者でもありました。

その活動は製品供給にとどまりませんでした。1936年（昭和11年）4月には、日本初の純粋な鉄道模型専門誌『模型鉄道』を創刊。鉄道模型の普及と啓蒙活動にも積極的に取り組み、業界の発展に貢献しました。また、交通博物館に系列の工房を持ち、同館の展示模型製作なども多数手掛けていました。

戦後の個性と独自路線

戦後、カワイモデルは一部製品を除き、戦前の精密志向とは異なる路線へと舵を切ります。独自のフォルムを持つ製品群が特徴で、ソフトメタル部品の多用、金属製車体ながら木製床板の使用、客車類のやや狭い幕板など、独特の個性あふれる製品を数多く生み出しました。これらのデザインや製造方法は、現在でも高く評価され、往時の技術とセンスが凝縮された製品としてコレクターに珍重されています。

代表的な製品

カワイモデルは数々の製品を生み出してきましたが、特に以下の製品は代表作として挙げられます。

EB20（自由型）Oゲージ (1947年): 戦後最初の製品として、カワイモデルの新たな出発を象徴するモデルです。
EB凸型（自由型）HOゲージ (1948年): HOゲージ製品の第一号として、後のHOゲージ普及に貢献しました。
* カワイ13-L（モーター） (1960年代): 鉄道模型用小型モーターとして一世を風靡し、多くの模型愛好家にとって懐かしい製品です。

結び

株式会社カワイモデルは、日本における鉄道模型の歴史に深く関わるメーカーでした。その製品は、高い技術力と独自の美意識を反映したものであり、廃業後も多くの愛好家から惜しまれ、その歴史的価値は現在もなお高く評価されています。カワイモデルの製品は、単なる模型という枠を超えて、日本の技術と文化を象徴する存在と言えるでしょう。 彼らの功績は、今後も日本の鉄道模型シーンに大きな影響を与え続けることでしょう。

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