カーンヴァ朝

カーンヴァ朝とは

カーンヴァ朝は、紀元前68年頃から紀元前23年頃まで、古代インドのマガダ地方を支配した王朝です。シュンガ朝に仕えていたヴァースデーヴァが、主君であるデーヴァブーティ王を倒して建国したとされています。しかし、その歴史は不明な点が多く、資料も乏しいため、詳しいことはわかっていません。

建国

カーンヴァ朝の創始者であるヴァースデーヴァは、バラモン階級出身であったと伝えられています。これは、シュンガ朝時代から有力な家系であったことを示唆しています。伝説によれば、シュンガ朝の最後の王であったデーヴァブーティは、無能で淫蕩な人物であったため、ヴァースデーヴァは王妃に変装させた奴隷女を使って彼を暗殺したとされています。その後、ヴァースデーヴァは自ら王位につき、カーンヴァ朝を創始しました。

統治

カーンヴァ朝の統治については、詳しい記録が残されていません。プラーナ文献では、カーンヴァ朝の王たちは「シュンガの臣下でありカーンヴァの裔である諸王」と記されており、カーンヴァ朝を滅ぼしたサータヴァーハナ朝の記録では、「シュンガ一族の残存者を滅ぼした」とされています。これらのことから、カーンヴァ朝の時代においても、シュンガ家が一定の影響力を保持していた可能性が指摘されています。カーンヴァ朝はバラモン教を重視していましたが、史料が少なく、考古学的な遺物も少ないため、具体的な政治体制や文化についてはあまりわかっていません。カーンヴァ朝の衰退とともに、マガダ国はかつての覇権を失っていきました。

滅亡

カーンヴァ朝は、4代45年で、中央インドのアーンドラ地方で起こったサータヴァーハナ朝によって滅ぼされました。これにより、マガダ地方におけるカーンヴァ朝の支配は終わりを告げました。

歴代王

カーンヴァ朝の歴代の王は以下の通りです。

1. ヴァースデーヴァ（在位9年間）
2. ブーミミトラ（在位14年間）
3. ナーラーヤナ（在位12年間）
4. スシャルマン（在位10年間）

文化

カーンヴァ朝の文化については、ほとんど何もわかっていません。史料の不足から、この時代の文化的な特徴を把握することは非常に困難です。

まとめ

カーンヴァ朝は、古代インドの歴史において、短期間しか存在しなかった王朝です。シュンガ朝から権力を奪取して成立しましたが、その統治は長くは続きませんでした。資料の少なさから、詳しい歴史や文化については未解明な部分が多く、今後の研究が待たれるところです。

参考文献

* 『中村元選集[決定版] 第7巻 インド史III』 （中村元 春秋社 1998年 ）

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